ショートショート
Vol.1 BY 秀始めに言っておこう。私はとある私立高校の教師である。
教師と言う職業は世間一般からはウケがいいようだが、内情は全然違う。
思わぬ気苦労を背負い込んでしまう事が意外に多い職業なのだ。
気苦労に耐えきれない者は体調を崩したりして、またこちらに負担がかかってくる。こうして
苦労を積み重ねて生活を続けていくものだ。
私の名前? そりゃ無い訳じゃないが、そんなものはどうでもいいことだ。
とりあえず私は教員達の間では学年主任という地位に収まっている。聞こえはいいこの肩書き
も年功序列という風習によって押しつけられたようなものだ。
さて、こうして私が心中を吐露したのは他でもない。余分な気苦労を少しでも減らそうという
魂胆なのだ。と言うのも私はつい先日校長に呼び出されたのだがその話というのがこうだ。
「最近はテストの際にカンニングが多くて困っている、何かいいアイデアはないものだろうか」
なるほど。確かに実力テストでカンニングをされては真の実力とはとても言いがたいだろう。
ある意味カンニングも一つの実力と言い張る方はご自由に。
しかし、古典的なカンニングペーパーに始まって、答案用紙の窃盗、携帯電話などを使用する
組織的な現在のカンニングは、我々年配のものには理解できず、またそれらを防ぐ手だても思い
つかない。
だが、カンニングを防ぐ手だてはあるのだろうか?
生憎と思いつかない。もうすぐ試験問題を作成する時期が迫ってきている。
せめて、私の作る問題くらいはカンニングを防ぎたい。
こうして私は日々悩み続ける毎日を過ごしているのだ。
誰かいい方法があれば教えて欲しいものだ。
以上の問題文を読み、文中の「私」の問いかけに答えよ。