第四章 特定継続的役務提供 

(定義) 

第四十一条  この章において「特定継続的役務提供」とは、次に掲げるものをいう。 

      一  役務提供事業者が、特定継続的役務をそれぞれの特定継続的役務ごとに政令で定める期間を超える期間にわたり提供
      することを約し、相手方がこれに応じて政令で定める金額を超える金銭を支払うことを約する契約(以下この章において「特定
      継続的役務提供契約」という。)を締結して行う特定継続的役務の提供 
      二  販売業者が、特定継続的役務の提供(前号の政令で定める期間を超える期間にわたり提供するものに限る。)を受ける
      権利を前号の政令で定める金額を超える金銭を受け取つて販売する契約(以下この章において「特定権利販売契約」とい
      う。)を締結して行う特定継続的役務の提供を受ける権利の販売 

 2  この章及び第六十七条第一項において「特定継続的役務」とは、国民の日常生活に係る取引において有償で継続的に提供さ
れる役務であつて、次の各号のいずれにも該当するものとして、政令で定めるものをいう。 

      一  役務の提供を受ける者の身体の美化又は知識若しくは技能の向上その他のその者の心身又は身上に関する目的を実
      現させることをもつて誘引が行われるもの 
      二  役務の性質上、前号に規定する目的が実現するかどうかが確実でないもの 

(特定継続的役務提供における書面の交付) 

第四十二条  役務提供事業者又は販売業者は、特定継続的役務の提供を受けようとする者又は特定継続的役務の提供を受ける
権利を購入しようとする者と特定継続的役務提供契約又は特定権利販売契約(以下この章において「特定継続的役務提供等契約」
という。)を締結しようとするときは、当該特定継続的役務提供等契約を締結するまでに、経済産業省令で定めるところにより、当該特
定継続的役務提供等契約の概要について記載した書面をその者に交付しなければならない。

 2  役務提供事業者は、特定継続的役務提供契約を締結したときは、遅滞なく、経済産業省令で定めるところにより、次の事項に
ついて当該特定継続的役務提供契約の内容を明らかにする書面を当該特定継続的役務の提供を受ける者に交付しなければならな
い。 

      一  役務の内容であつて経済産業省令で定める事項及び当該役務の提供に際し当該役務の提供を受ける者が購入する必
      要のある商品がある場合にはその商品名 
      二  役務の対価その他の役務の提供を受ける者が支払わなければならない金銭の額 
      三  前号に掲げる金銭の支払の時期及び方法 
      四  役務の提供期間 
      五  第四十八条第一項の規定による特定継続的役務提供契約の解除に関する事項(同条第二項から第七項までの規定に
      関する事項を含む。) 
      六  第四十九条第一項の規定による特定継続的役務提供契約の解除に関する事項(同条第二項、第五項及び第六項の規
      定に関する事項を含む。) 
      七  前各号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項 

 3  販売業者は、特定権利販売契約を締結したときは、遅滞なく、経済産業省令で定めるところにより、次の事項について当該特
定権利販売契約の内容を明らかにする書面を当該特定継続的役務の提供を受ける権利の購入者に交付しなければならない。 

      一  権利の内容であつて経済産業省令で定める事項及び当該権利の行使による役務の提供に際し当該特定継続的役務の
      提供を受ける権利の購入者が購入する必要のある商品がある場合にはその商品名 
      二  権利の販売価格その他の当該特定継続的役務の提供を受ける権利の購入者が支払わなければならない金銭の額 
      三  前号に掲げる金銭の支払の時期及び方法 
      四  権利の行使により受けることができる役務の提供期間 
      五  第四十八条第一項の規定による特定権利販売契約の解除に関する事項(同条第二項から第七項までの規定に関する
      事項を含む。) 
      六  第四十九条第三項の規定による特定権利販売契約の解除に関する事項(同条第四項から第六項までの規定に関する
      事項を含む。) 
      七  前各号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項 

(誇大広告等の禁止) 

第四十三条  役務提供事業者又は販売業者は、特定継続的役務提供をする場合の特定継続的役務の提供条件又は特定継続的
役務の提供を受ける権利の販売条件について広告をするときは、当該特定継続的役務の内容又は効果その他の経済産業省令で定
める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるよ
うな表示をしてはならない。

(禁止行為) 

第四十四条  役務提供事業者又は販売業者は、特定継続的役務提供等契約の締結について勧誘をするに際し、又は特定継続的
役務提供等契約の解除を妨げるため、当該特定継続的役務提供等契約に関する事項であつて、顧客又は特定継続的役務の提供を
受ける者若しくは特定継続的役務の提供を受ける権利の購入者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、不実のことを告
げる行為をしてはならない。

 2  役務提供事業者又は販売業者は、特定継続的役務提供等契約を締結させ、又は特定継続的役務提供等契約の解除を妨げる
ため、人を威迫して困惑させてはならない。

(書類の備付け及び閲覧等) 

第四十五条  役務提供事業者又は販売業者は、特定継続的役務提供に係る前払取引(特定継続的役務提供に先立つてその相手
方から政令で定める金額を超える金銭を受領する特定継続的役務提供に係る取引をいう。次項において同じ。)を行うときは、経済産
業省令で定めるところにより、その業務及び財産の状況を記載した書類を、特定継続的役務提供等契約に関する業務を行う事務所
に備え置かなければならない。

 2  特定継続的役務提供に係る前払取引の相手方は、前項に規定する書類の閲覧を求め、又は前項の役務提供事業者若しくは
販売業者の定める費用を支払つてその謄本若しくは抄本の交付を求めることができる。

(指示) 

第四十六条  主務大臣は、役務提供事業者又は販売業者が第四十二条から前条までの規定に違反し、又は次に掲げる行為をした
場合において、特定継続的役務提供に係る取引の公正及び特定継続的役務提供契約を締結して特定継続的役務の提供を受ける
者又は特定権利販売契約を締結して特定継続的役務の提供を受ける権利を購入する者(以下この章において「特定継続的役務提
供受領者等」という。)の利益が害されるおそれがあると認めるときは、その役務提供事業者又は販売業者に対し、必要な措置をとる
べきことを指示することができる。 

      一  特定継続的役務提供等契約に基づく債務又は特定継続的役務提供等契約の解除によつて生ずる債務の全部又は一部
      の履行を拒否し、又は不当に遅延させること。 
      二  特定継続的役務提供等契約の締結について勧誘をするに際し、又は特定継続的役務提供等契約の解除を妨げるため、
      当該特定継続的役務提供等契約に関する事項であつて、顧客又は特定継続的役務提供受領者等の判断に影響を及ぼすこ
      ととなる重要なものにつき、故意に事実を告げないこと。 
      三  前二号に掲げるもののほか、特定継続的役務提供に関する行為であつて、特定継続的役務提供に係る取引の公正及
      び特定継続的役務提供受領者等の利益を害するおそれがあるものとして経済産業省令で定めるもの 

(業務の停止等) 

第四十七条  主務大臣は、役務提供事業者又は販売業者が第四十二条から第四十五条までの規定に違反し若しくは前条各号に
掲げる行為をした場合において特定継続的役務提供に係る取引の公正及び特定継続的役務提供受領者等の利益が著しく害される
おそれがあると認めるとき、又は役務提供事業者若しくは販売業者が同条の規定による指示に従わないときは、その役務提供事業
者又は販売業者に対し、一年以内の期間を限り、特定継続的役務提供に関する業務の全部又は一部を停止すべきことを命ずること
ができる。

 2  主務大臣は、前項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。

(特定継続的役務提供等契約の解除等) 

第四十八条  役務提供事業者又は販売業者が特定継続的役務提供等契約を締結した場合におけるその特定継続的役務提供受
領者等は、第四十二条第二項又は第三項の書面を受領した日から起算して八日を経過したときを除き、書面によりその特定継続的
役務提供等契約の解除を行うことができる。

 2  前項の規定による特定継続的役務提供等契約の解除があつた場合において、役務提供事業者又は販売業者が特定継続的
役務の提供に際し特定継続的役務提供受領者等が購入する必要のある商品として政令で定める商品(以下この章において「関連商
品」という。)の販売又はその代理若しくは媒介を行つている場合には、当該商品の販売に係る契約(以下この条及び次条において
「関連商品販売契約」という。)についても、前項と同様とする。ただし、特定継続的役務提供受領者等が第四十二条第二項又は第
三項の書面を受領した場合において、関連商品であつてその使用若しくは一部の消費により価格が著しく減少するおそれがある商
品として政令で定めるものを使用し又はその全部若しくは一部を消費したときは、この限りでない。

 3  前二項の規定による特定継続的役務提供等契約の解除及び関連商品販売契約の解除は、それぞれ当該解除を行う旨の書面
を発した時に、その効力を生ずる。

 4  第一項の規定による特定継続的役務提供等契約の解除又は第二項の規定による関連商品販売契約の解除があつた場合に
おいては、役務提供事業者若しくは販売業者又は関連商品の販売を行つた者は、当該解除に伴う損害賠償若しくは違約金の支払を
請求することができない。

 5  第一項の規定による特定権利販売契約の解除又は第二項の規定による関連商品販売契約の解除があつた場合において、そ
の特定権利販売契約又は関連商品販売契約に係る権利の移転又は関連商品の引渡しが既にされているときは、その返還又は引
取りに要する費用は、販売業者又は関連商品の販売を行つた者の負担とする。

 6  役務提供事業者又は販売業者は、第一項の規定による特定継続的役務提供等契約の解除があつた場合には、既に当該特
定継続的役務提供等契約に基づき特定継続的役務提供が行われたときにおいても、特定継続的役務提供受領者等に対し、当該特
定継続的役務提供等契約に係る特定継続的役務の対価その他の金銭の支払を請求することができない。

 7  役務提供事業者は、第一項の規定による特定継続的役務提供契約の解除があつた場合において、当該特定継続的役務提供
契約に関連して金銭を受領しているときは、特定継続的役務の提供を受ける者に対し、速やかに、これを返還しなければならない。

 8  前各項の規定に反する特約で特定継続的役務提供受領者等に不利なものは、無効とする。

第四十九条  役務提供事業者が特定継続的役務提供契約を締結した場合におけるその特定継続的役務の提供を受ける者は、第
四十二条第二項の書面を受領した日から起算して八日を経過した後においては、将来に向かつてその特定継続的役務提供契約の
解除を行うことができる。

 2  役務提供事業者は、前項の規定により特定継続的役務提供契約が解除されたときは、損害賠償額の予定又は違約金の定め
があるときにおいても、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算し
た金額を超える額の金銭の支払を特定継続的役務の提供を受ける者に対して請求することができない。 

      一  当該特定継続的役務提供契約の解除が特定継続的役務の提供開始後である場合 次の額を合算した額 
            イ 提供された特定継続的役務の対価に相当する額 
            ロ 当該特定継続的役務提供契約の解除によつて通常生ずる損害の額として第四十一条第二項の政令で定める役
            務ごとに政令で定める額 
      二  当該特定継続的役務提供契約の解除が特定継続的役務の提供開始前である場合 契約の締結及び履行のために通
      常要する費用の額として第四十条第二項の政令で定める役務ごとに政令で定める額 

 3  販売業者が特定権利販売契約を締結した場合におけるその特定継続的役務の提供を受ける権利の購入者は、第四十二条第
三項の書面を受領した日から起算して八日を経過した後においては、その特定権利販売契約の解除を行うことができる。

 4  販売業者は、前項の規定により特定権利販売契約が解除されたときは、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにお
いても、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える
額の金銭の支払を特定継続的役務の提供を受ける権利の購入者に対して請求することができない。 

      一  当該権利が返還された場合 当該権利の行使により通常得られる利益に相当する額(当該権利の販売価格に相当する
      額から当該権利の返還されたときにおける価格を控除した額が当該権利の行使により通常得られる利益に相当する額を超え
      るときは、その額) 
      二  当該権利が返還されない場合 当該権利の販売価格に相当する額 
      三  当該契約の解除が当該権利の移転前である場合 契約の締結及び履行のために通常要する費用の額 

 5  第一項又は第三項の規定により特定継続的役務提供等契約が解除された場合であつて、役務提供事業者又は販売業者が
特定継続的役務提供受領者等に対し、関連商品の販売又はその代理若しくは媒介を行つている場合には、特定継続的役務提供受
領者等は当該関連商品販売契約の解除を行うことができる。

 6  関連商品の販売を行つた者は、前項の規定により関連商品販売契約が解除されたときは、損害賠償額の予定又は違約金の
定めがあるときにおいても、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加
算した金額を超える額の金銭の支払を特定継続的役務提供受領者等に対して請求することができない。 

      一  当該関連商品が返還された場合 当該関連商品の通常の使用料に相当する額(当該関連商品の販売価格に相当する
      額から当該関連商品の返還されたときにおける価格を控除した額が通常の使用料に相当する額を超えるときは、その額) 
      二  当該関連商品が返還されない場合 当該関連商品の販売価格に相当する額 
      三  当該契約の解除が当該関連商品の引渡し前である場合 契約の締結及び履行のために通常要する費用の額 

 7  前各項の規定に反する特約で特定継続的役務提供受領者等に不利なものは、無効とする。

(適用除外) 

第五十条  この章の規定は、次の特定継続的役務提供については、適用しない。 

      一  特定継続的役務提供等契約で、特定継続的役務提供受領者等が営業のために又は営業として締結するものに係る特
      定継続的役務提供 
      二  本邦外に在る者に対する特定継続的役務提供 
      三  国又は地方公共団体が行う特定継続的役務提供 
      四  次の団体がその直接又は間接の構成員に対して行う特定継続的役務提供(その団体が構成員以外の者にその事業又
      は施設を利用させることができる場合には、これらの者に対して行う特定継続的役務提供を含む。) 
            イ 特別の法律に基づいて設立された組合並びにその連合会及び中央会 
            ロ 国家公務員法第百八条の二 又は地方公務員法第五十二条 の団体 
            ハ 労働組合 
      五  事業者がその従業者に対して行う特定継続的役務提供 

 2  第四十九条第二項、第四項及び第六項の規定は、特定継続的役務又は関連商品を割賦販売等により提供又は販売するもの
については、適用しない。 
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