水温計の警告灯が点灯したらまずは安全なところで車を止めてエンジンを切ってください…    ホームに戻る

キャリイ DA16T 4WD
令和4年式で走行7,000㎞
草いっぱいの農道を走ったために…
水温計の警告灯が点灯したのにエンジンが止まるまで走ってしまった。
下回りを点検すると、プロペラシャフト近くの冷却水のホースがプロペラシャフトに絡まった草で破断していました。
まずは、切れた冷却ホースを交換して冷却水入れてみるのですが、まるで噴水のようにラジエータのキャップの穴から冷却水を吐き出してしまいます。

エンジン内部でどのようなことが起こったのでしょうか?



下から見ると草が絡みついています前輪につながるプロペラシャフトに草が絡んでいます
O2センサーの配線が切れています
マフラーの触媒近くまで草があります
             



プロペラシャフトに絡まった草で近くの冷却ホースが切れています (映り込みが悪くですみません)車から降ろしたエンジンです外観は草以外の損傷は見られません




インテークマニホールドを外します外す前のヘッドカバーですカバーを外した内部です 綺麗です
                   



カバーの裏側もきれいですオイルパンを外した後
チェーンカバーも外します 
チェーン側やクランクもきれいなものですいよいよヘッドを分離します
       



カムシャフトを外したところですヘッドを外し、ピストンが見えます
黒いのがシリンダーヘッドガスケットでとても薄いものです
燃焼室上部は見た目には損傷は無いようですが…



エンジンブロック上部中央付近にひずみが・・・ヘッド部分もひずみを診ます矢印部分にひずみが分かります


矢印部分の拡大でよくわかると思います
オーバーヒートを起こしたまま時間が経つと高熱によるエンジンの変形が起こります。エンジンの主要な構造体はアルミなので熱によるひずみはより大きくなります。
例えば、フライパンを空焚きすれば形がいびつになりませんか?
ひずみが起こることで燃焼室の機密が保てなくなり、燃焼ガスや圧縮状態のガスが冷却系統に漏れて冷却水を外に吐き出してしまうのです。
昔のエンジンならシリンダーが鋳鉄でひずみの発生が小さく、ブロックやヘッドの面を油砥石で研磨してひずみを取ることもありましたが、
今のエンジンは基本オールアルミ製でひずみが大きく合わせ面のガスケットも非常に薄いので、今回はエンジン載せ替えを選択しました。