テキスト ボックス: 腸内環境をよくする方法

アトピーでお悩みの方に知ってほしい事

  群馬大学の川辺志津子先生からの研究報告では、アレルギー疾患を煩っている乳児をもつ母親が卵白蛋白を食べた場合、30分後には、母乳中に卵白蛋白が認められ、その母乳を飲ん乳児のアレルギー状態が悪化するというのです。ここで問題となるのは、なぜ母親が食べた卵白蛋白が、母乳に出てくるのかと言うことです。元来、卵の蛋白質は母親の腸管内に入ってから消化分解されてアミノ酸になり、腸壁から吸収されるはずです。ですから母乳中に卵白蛋白が出てくるはずがないわけです。それにもかかわらず、母乳中に卵白蛋白が認められたことは、母親の腸管内に異常があり大きな蛋白質の分子がそのまま、腸壁から吸収されてしまったことになります。もし、母親の腸粘膜が健全であれば、そのような分子の大きい卵白蛋白は腸壁を通過して母乳の中へ入ってこられないはずです。問題は、母親も腸管粘膜が丈夫でなかったということになります。なぜなら、アレルゲン(アレルギーを起こす物質)を侵入させないように、完全な戸締りができかったからです。最近、アトピー性皮膚炎の治療法として食物除去法がさかんに行われています。Rast法テストで食品のうち何がアレルゲンになっているかを調べ、陽性の食品を、毎日食べるものから除いゆくというものです。だいたい、卵、牛乳、大豆が三大アレルゲンといわれてきましたが、検査がより精密に行われるようになって、最近は米も麦もだめと言われる患者さん達が増えてきました。当店に訪れる患者さん達の中にも、卵、大豆、牛乳はもちろん米もダメだと言われ、粟を主食にしているとか、ジャガイモが主食だと泣きべそをかいている人達がおります。ところが、このような食物除去食でアトピー性皮膚炎が治るかというと、そうではないのです。現在、安全だと言われている粟やキビもやがて危険な食品に変わってくるということをよく知らばなりません。それはなぜかと言うと、粟やキビにも、蛋白質が含まれており、その蛋白質は、の蛋白質よりも多いのです。もし、腸壁に異常があり、腸粘膜から蛋白質が吸収されるような状態では、粟やキビの蛋白質もそのまま吸収されることになります。これらの蛋白質は、人体にとって異物ですから、これを処理、排除するために、早晩、抗体ができてくるはずです。そうなれば、もはや粟やキビも危険な食品となってしまうのです。要するに、腸管内の異常をそのままにしておいて卵が悪い、大豆が悪いなどと犯人ばかり調べていてもだめだということです。この世において、犯人(アレルゲン)となり得るものは、無数にあるわけです。それよりもまず、戸締まりをしっかりして、犯人(アレルゲン)が中へ侵入できないようにすることが大切です。最近、順天堂大学小児科の小口先生らのグループは、アトピー性皮膚炎と腸粘膜の異常の関係について調べた結果、アトピー性皮膚炎の患者は皆、小腸の粘膜上皮がビランしており、又絨毛(じゅうもう)の萎縮と陰窩(いんか=きず、あな)の形成が生じている事が解ったのです。昭和大学医学部の田角恭子先生の研究からは、正常な腸壁からは、吸収されにくい分子量の大きな糖蛋白が、食物アレルギーの患者では容易に吸収されているということが実験により報されています。

アトピーと腸の関係.1