2012年12月。江口は怒っていました。

〜江口と花びら餅の3日間〜


菓子作りにおいて知ってしまう知りたくないこと。
砂糖の量。


 We wish you a メリークリスマス♪ We wish you a メリークリスマス♪ We wish you a メリークリスマス、and ハッピーニューイヤ〜♪
 どうやら欧米の方では、クリスマスと新年は同時に祝うもののようです。ま、あいだ1週間しかないしな、まとめて祝った方がいいに違いない。
 さて、そうなると、新年の菓子もクリスマス菓子として扱ってもいいんじゃね?
 そんな思いつきで決まりました、今年のクリスマス企画はー。

 正月菓子の定番、花びら餅ーー。

 定番って自分で言ってるが、何で花びら餅なのかは知らんし、食べたこともない。そのへんはwikipediaが詳しいからそっちで。
 変わった菓子だっていう印象だけはあった。だってごぼう使うんだよ? お菓子にごぼうって、なんだそれ。
 今回は、その変わった菓子を作ってみましょうー。

 参考にしますレシピは、江口の好きな和菓子家の金塚晴子先生著、『キッチンで作るお祝いの茶席菓子』掲載のものから。この本は、表紙が気に入ってジャケ買いした記憶がある。

 それでは、材料から。掲載の分量とちょっとずつ違うのは、買ってきた白玉粉が1袋120g入りだったから、それに合わせてみました。

【材料】
 白玉粉 1袋(120g)
 水 240cc
 砂糖 240g
 水飴 35g
 味噌餡(白あん150g+味噌35g+水飴10g+水50cc)
 食紅 適量
 ごぼうの蜜煮(細切りのごぼうを、水100cc+砂糖100gで煮詰めたもの)

 恐ろしい数値の砂糖の量は気にしないとして、まあ材料は簡単ですね、近所のスーパーマーケットで手にはいるでしょう。さっさと買って、始めましょう。

 ‥‥‥‥。

 白あんが売ってないよーーー!?

 ちょっと待って、なんで白あんって売ってないの? 粒あんこしあんを3種類も売り場に置くぐらいなら、白あんひとつ置いてよ。
 オーケイ、分かった。白あんがないなら豆から煮ればいいじゃない! そんなマリーアントワネットが豆売り場に移動しますよ。
 白インゲンも置いて無いじゃない!! どうしろって言うのよ! 革命起きちゃうわよ!!

 スーパー3軒ぐらい捜したわ。最終的には近所の和菓子屋で白あん譲って貰おうかとも考えてた。そこまで至らず、売ってる店があったんでね。 

 予定よりだいぶ遅れて、材料が揃いました。
 では改めて作り方を見て、取りかかりましょう。

 まず、味噌餡とごぼうの蜜煮を作らなければなりません。
 ごぼうは我が家にあるんだ、こないだ夫の両親が来たときに大量に置いていったはずだからな。

太さがばらばらなのはご愛敬。
冷蔵庫の中の他、裏庭にも埋められてる。
いろんなものが土中保管されるが、掘り出したことはまず無い。


関係ないけど、同じく夫実家からの貰いもの、しいたけ。
このでかさを誰かに教えたかったが、機会がなかったのでココで無理矢理紹介。
使い道に困ってる。

 はい、ごぼう発見。では蜜煮を作りましょう。

 砂糖液で煮詰めたごぼうを1晩寝かせる×2回。

 嘘ぉーーん。

 これでこの日はもう本番を作れなくなりましたー。
 出来ないもんは仕方ない、せめてものすごく丁寧に作りましょう。

 ごぼうの仕込みをしていて、ようやっと気づいたこと。
 何で花びら餅にごぼう使うのかって、あ、これ、桜の枝に似せてんだ。ごぼう触るまで気づかなかった。 

 
***2晩経過***

 待たせましたね、今度こそ取り掛かりますよ。ごぼうもドロドロの蜜に浸ってますよ。

 もうひとつの材料も作らなければなりません。味噌餡ですね。
 ちなみに、本来のレシピでは、白みそ赤みそそれぞれが必要なんですが。赤みそ5gのためにわざわざ買うのもナンなので、今回は普段の味噌汁用味噌に御登場願う。

我が家の嫁姑問題の原因のひとつ、伊予みそ。
 鍋に水と白餡と入れて火にかけ溶かし、味噌を入れてさらに溶かしたのち、水あめで艶出し。味噌が焦げるから火加減には注意だ。
 甘しょっぱい、おいしい餡です。
 味噌餡が存在するのなら、香川県の餡餅白味噌雑煮ってゲテモノでもなんでもないんだよなあ、と弁護してみる。

 今度こそ本当の本当に、材料が揃いました。
 それではいよいよ、花びら餅に取り掛かりまーす。

 まず作らなければならないのが、ぎゅうひ。
 レシピでは、電子レンジを使って簡単に、とあります。
 けど、せっかくなんだから、レンジなんか使わずに、ちゃんとした本来のぎゅうひの作り方でやってみたいのですよ。
 どうやって作るんでしょう。

 参考にしましたサイト、つくる楽しみ
 片栗粉まで手作りしてて笑った。
 えーと、ここのサイトによりますと、ぎゅうひの作り方はざっと4種類。白玉粉と水と砂糖を混ぜたものを、直火にかけながら練る、ゆでてから練る、蒸してから練る、レンジにかけてから練る‥‥‥‥。

 電子レンジってステキ! こんなに手軽な調理器具が一般家庭に普及しているなんて!!
 そうよ、電子レンジって調理器具。ガスコンロ使ってる人間が、レンジはイヤだなんて、なによそれ。
 どこに対して言い訳してんだろうな。

 もっとも、蒸し練り・ゆで練りそれぞれ興味はあるので、試してみたいとは思っております。

 では、レンジ方式でのぎゅうひをば。
 白玉粉に対して、倍量の水、倍量の砂糖。『ぎゅうひ』って、漢字で『求肥』って書くんだわ。肥えるを求める。そんなもの求めなくていい。
 2分かけては、取り出して混ぜる、を3〜4回繰り返すと、液体がみるみる固体になっていって面白い。
 最初、水加減が多すぎたか、生地がさらさらで、こりゃ失敗するかと思ったが、レンジにかけるたびに見事に固まっていって、たいそう面白うございました。

 ただこれ、どこがゴールか分からん。ひとまとまりになって、手で持てる堅さになった、これで正解なのかしらん。
 べたべたくっつきはするけれど、片栗粉をまぶせば大丈夫、細工できる状態になっている。
 細工できるのならいいか、これで。

 というわけで、続行。
 片栗粉をふった伸し台(江口家には無いのでまな板で)の上に求肥を取り、手粉をはたいて、手で叩いて薄く伸ばす。
 生地が冷めたら、丸い抜き型(江口家にはないのでコップ)で抜く。

 抜けませんーー。

 しまった、コップの縁では、この柔らかい生地を分断出来ん。
 引っ張って取ろうとすると、当然生地が伸びて型くずれを起こす。

 

 丸くするのを諦めた図。

 撮影用に1枚でも円形を保てたのがあればいいや。
 はいはい、丸く抜いて、残った生地の粉をはたいて、もう一度ボウルに戻しますー。水でといた食紅を入れて混ぜた後、もう一回レンジでチン。

 

 何という毒々しい色に。

 これをさっきと同様に伸ばして、一回り小さいサイズの形で丸く抜く‥‥が、抜くのは諦めたので包丁で切る。

 白い求肥のうえに赤い求肥を乗せ、ごぼうを渡して、味噌餡を塗る。味噌餡は赤求肥の中に収めるのがポイント。
 そしてそれを半月上に折りますと‥‥

 

 できましたーーー。そして撮影‥‥。

 撮影時の惨状ーーー。

 

 一番の難物は、片栗粉です。

 では早速、試食させていただきます。この、撮影に使った餅をぺろりんちょ。

 あ、んまい。
 甘しょっぱくてんまい。
 餅がやわらかい。ごぼうも柔らかい。

 これ、成功だよね。
 大成功だよね。

 尚、夫の試食の感想は。
 「甘いモノへの欲求が、とたんにどっか行った。
 だって甘いんだもん。

 じゃあ思いついちゃったんで、この菓子1個のカロリーを計算してみましょうーー。
 カロリー計算の方法なんて知らないんで、テキトーですがね。
 参考にしますのは、食品成分データベース。このデータベースは、文部科学省が開発したものであり、試験的に公開しているものです。
 上部↑のレシピと、照らし合わせてみるよ。

白玉粉120g = 443kcal
 水240cc+水50cc+水100cc = 0kcal
 砂糖(上白糖)240g = 992kcal
 水飴35g+水飴10g = 145kcal
白あん(いんげん豆こしあん)150g = 233kcal
 味噌(麦みそ)35g = 69kcal
 ごぼう  重量不明
 砂糖(グラニュー糖)100g = 387kcal

+)__________________

2269kcal

 全部で11個作ったから、11で割って1個分は約206kcal。あ、意外と常識の範囲内。成人男子の必要カロリーの10%が摂取できちゃうけどな。
 しかし、市販菓子のカロリー表示を見たときに、このくらいの数値のものはいくらでもある。
 なので、菓子の摂取を常としている人間にとって、この程度の砂糖は特別に怖いものじゃないんだーー。
 もしくは、この砂糖を怖がる人間にとって、市販菓子がみるみる恐怖の対象になるんだーーー。

 はい、長らくのおつきあいありがとうございました。予定より遅れましたが、これにて今年のクリスマス企画終了でございます。

 では来年は何にしましょう。いよいよ一般化してきたシュトーレンにするか、偶然続けて読んだ2冊の本で出てきて存在を知ったボーロレイにするか。
 今年も、wikipediaのデータをチェックしましょう。新顔はスペキュラース。気になるね、コレ。

 何になるかは来年までのお楽しみーーーー・

 ショートブレッドのアメリカ式ショートケーキも考えていたりする。

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