2021年6月。江口は開き直っていました。
〜江口と水無月の一日〜
Amazonから届いた荷物を見ての、夫との会話。
夫「なに買ったの?」
わし「あかえんどう」
夫「ああ、クリスマスの?」
この時点で6月。
さて、こう見えても江口は、この毎年のクリスマス企画を自分で気に入っている。毎年毎年、世間のいろんな菓子に目を向け知識を仕入れる作業は楽しくはある。
しかし、その『楽しい』と、『実際に作ってみる』は別問題なのである。
アレだな、時間と手間暇とコストをかけないと作れない菓子ってのは、そりゃあお貴族様でしか味わえないものになるのも道理だな。毎日のコメ炊くのとはワケが違うんだよ。
というわけで、去年ぐらいから完全に開き直ってクリスマス全く関係ないものになりましたこの企画。
今回は、水無月でございます。
ここの企画をやろうぜぇというやる気と、菓子を作ろうかなぁというやる気の重なったタイミングが6月になってからでした。ちょうど、16日の和菓子の日の話題をよく目にしてまして、嘉祥菓子でもええか、と思ったが、これはイマイチ「コレを作るべし」という形のハッキリしないものだったので保留、そして6月の次の菓子と言えば、夏越の祓えじゃん、ということに思い至ったので、水無月でございます。
夏越の祓えとは何ぞいな、水無月とは何ぞいな、という読者諸兄にご説明いたしましょう。
まず『夏越の祓え(なごしのはらえ)』、半年分の厄落としをしましょう、という日でございます。毎年6月30日。実際に儀式をする神社では、別にその日に限らなかったりするみたい。ともかく、一年の真ん中区切りの日。
そしてその日に食べるお菓子が、『水無月』。和菓子屋によっては6月30日にしか販売しないという、超期間限定レア菓子扱い。ま、最近は6月いっぱい作ってるところの方が多そうだけど。
なんで水無月を食べるのか、その理由はよく分からん。ま、白くて涼しげで三角に形作った『ういろう』で、これは『氷』を表しているらしい。で、上に乗ってる小豆は、小豆お得意の邪気払い。冷ややかな邪気払い菓子、ということなんでしょうね。
そうか、小豆を使わなきゃいけなかったのか。
なんで赤豌豆をチョイスしたのかな、わし。
いやあ、いろいろレシピを見ているときに知ったのが、「甘く炊いた豆を乗せて」ってことだったので、別に小豆に限らないのかな、と。
で、赤豌豆も使ってみたかったんだ。ほら、みつまめに入れてる豆、あれが赤豌豆だって知ったんでね。赤豌豆ってどんな豆なのかなー、って興味があったから。
家の冷凍庫に青豌豆が業者レベルで冷凍されてるけど、さらにこの上に赤豌豆って、どうすんだよとか思ったけど、そんなことは知らんぷいして。
ではさっそく、作りましょう。まずは赤豌豆の蜜煮から。
‥‥どやって作るんやろ。
みつまめの豆って、あれ別に甘くないらしい。
寒天にしろ赤豌豆にしろ、甘くない状態で、そこに黒蜜をかけることで甘く食べているらしい。そうなんや。
言うてええですか、わし、みつまめ食べたこと無い。
もっと言うなら、水無月も食べたこと無い。
ういろうも、食べたこと無い。
とりあえず教訓として感じたことは、『食べたことないものを想像だけで作るのはやめよう』ということでした。
この企画16年やってて、やっと分かりました。
分かりはしたが、もう始まってしまったので止めるわけにも行かぬ。いや、別に止めてもいいんだけど、赤豌豆買っちゃったからな。Amazonで250g入630円。買ったからには消費しよう。
えー。蜜煮。 とりあえず、全量を一晩、重曹入りの水に浸したものを、浸し水ごと5分ほど茹でて、茹で汁を捨てた後、新しい水にして圧力鍋で加圧10分ほど。 煮えたものから、今回使うのに3分の1ほど小鍋に移して、残りは冷凍。 まあ、煮豆量の半分ぐらいかなー、って量の砂糖とひとつまみの塩を目分量で入れて、一煮立ちさせた後、煮汁のまままた寝かす。 寝かせる行程は、必要だったわけではなく単に力尽きただけで。 |
ここまでで食べてみた感想。
皮が固い。煮えてはいるのだが、舌に触る。
ええのんかいな、これで。
続きまして、ういろう。
‥‥作り方、分からん。
手元のレシピでは、個菓子としてのういろうと、型蒸しとしてのういろうで、粉と水の配合が違うのな。
これ、個菓子のういろう生地で作ったら、生地が硬くなったりするのかしらん。
練りきりみたいに形を作る個菓子なら堅くて、型に流すのは柔らかかったりするのかしらん。
いろいろ悩んだが、そもそも型蒸しの方に必要な葛粉が必要とか言われたので、全ては無かったことにする。
用意するもの。
上用粉100g・もち粉50g・砂糖100g、など。
何一つ、手に入らんかった。
いやまあ、上用粉は上新粉でええやろ。もち粉は‥‥白玉粉でいけるかな?
しかしなあ、こないだだんごを作って使いかけの、だんご粉がまだあるんだよなあ。こっちも使いたいなあ。
だんご粉なあ、使いかけでなあ。
うるち米60%、もち米40%か‥‥。
これでええやろ。
これ150gにしたら、うるち米:もち米が2:1のところ、3:2になるだけってことでええやろ。
というわけで、150g量って、と。
うーん、まだだんご粉が半端に残るなあ。開封してだいぶ経ってるので、たいがい使い切りたいなあ。
残りは、100gか。
使っちゃえ。
えーと、水100ccに砂糖100gを煮溶かして、そのシロップで粉を混ぜる、と。
計量カップに1杯、水をくんで鍋の中に、と。
あ、計量カップ1杯って、200ccだったわ。
ま、ええか。
粉にシロップを混ぜる。 どの程度か分からんので、「型に流し入れる」ことを考えて、流せられる程度のゆるさにしてみる。 |
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おたま1杯程度の生地を残して、残りは蒸し器でまず5分蒸す。 | |
5分経ったら、残しておいた生地を流して、その上から赤豌豆の蜜煮を乗せる。 このあと30分蒸す。 |
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蒸し上がり。 豆が更に膨らんだような。 |
で、冷やしたものがこちらです。
食べた感想。
味はうまい。
でも、めっちゃ硬い。
「一晩経っただんごみたい」と言われました。うん、そうね。
今になって思ったんだけど、コレ、なんとなく冷やして食べなきゃってイメージだったんだけど、別にそんなことないわな。水ようかんとかじゃあるまいし、常温で良かったのかもしれん。
いやさ、餅菓子なんだから、冷蔵庫で冷ましちゃダメだろ。そりゃ硬くなるわ、一晩経っただんごだわ。
ま、どっちにせよ、一日で食べきれる量じゃないんで、冷蔵庫行きは確定で。
いっそ蒸し直して温かくして食べた方がおいしいかもしれん。
以上、かつてないほどの迷走っぷりをお届けいたしました。
しかし改めて思うが、この企画、16年もやってんのか。
そして16年やってて、まともに作れたの、ほんとに数回だな。
ま、ええか。