2016年3月。江口は自分でも何やってんだろうと思いました。
〜江口とモティチュールラドゥの2日〜
自分はいま菓子を作ろうとしているんだよな、と再確認。
先に言っておきます、江口は典型的な日本人であり、特定の宗教に特定の感情を良くも悪くも抱いておりません。神社に初詣に行って、空海由来の四国遍路を巡り、一向宗の寺で葬式あげた父親の仏壇に手を合わせ、クリスマスにうかれる、そんなレベルの日本人です。
なので灌仏会をことさらプッシュするのも、その延長でございます。
灌仏会(かんぶつえ)とは何ぞや?
4月8日の、お釈迦様の誕生日です。『花まつり』とも言われ、仏像に甘茶をかける儀式が行われたりします。よくよく注意してみると、ローカルニュースなんかで、この行事がなされた記事が放映されるかもしれません。少なくとも江口は幼稚園児達が、「ハッピーバースディ、ディア、おしゃかさまー」と歌わされてるニュースを見たことがある。
しかしながら、こんな華やかな名称も付き、なにを成すべきかハッキリしているのに、まったく定着しない灌仏会。
常々江口が思ってんのは、定着=商業ベースに乗せるためには、明確な食品を提示しなきゃならん、と。だから恵方に向かって丸かぶりせよとの恵方巻は定着したのに、コスプレまつりのハロウィンは定着しない。
それでも江口は、そんなに危機感は抱いていなかった。
気が付きゃイースターパッケージに菓子売場が席巻されてるのを見るまではな!!
え、ちょっと待って、いつの間に? いつの間にイースターなんてのが台頭してきたの? そもそも何だ、イースターエッグは知ってても、それがいつの行事で何をするモノなのか全く知らんぞそんなの。
そして調べれば、3月下旬の行事。おいおいおい、すぐそこに灌仏会があるのに復活祭を採択するのかよ!
あかん、これ本気で灌仏会をプッシュしないと、イースターに喰われてまう!!
って、おまえは何様だと言われたらそこでこのハナシは終わるんだけどね。
さーてそんなことはさておいて、インド方面で、なんか釈迦関連の祝い事と、それに関するお菓子とかないかなー、と検索してみた結果。
ほうほう、まさに祝い菓子として登場しました、モティチュールラドゥ。
ヒヨコ豆の粉を水で溶いて、天かすのように油であげたものをシロップに浸して、団子状に丸めたもの、らしい。ちょうどタイムリーに、NHK教育テレビ『ニャンちゅうワールド放送局』で紹介されてたので、実物を見ることができた。小綺麗なまん丸黄色菓子だった。
たまたま行ったインドカレー屋で店員さんに話を振ったら、「知ってる」って言われた。ポピュラーな菓子と断定して間違いなさそうだ。
余談ではありますが、日本の古代菓子に『おこし』ってのがあって、ま、今でも東京銘菓雷おこしとかあるのでどんなものか想像は難しくないと思いますが。つまり、手持ちの穀物を加熱加工して糖液でまとめた菓子。
そう考えると、『手持ちの穀物』+『甘さ』って、この2種類だけの材料で作られる菓子って、たぶんインドでも古典菓子で、似たようなものは他の国にもある、はず。余談終わり。
こうしてレシピだけ聞くと、まあ再現はできそうですね。
問題は、『ヒヨコ豆の粉』なんてものがどこで手にはいるか、ですな。
まあこのご時世、いくらでもAmazonで取り扱ってくれるだろうし、実際売ってた(『ベサン粉』で検索)。けど、送料含めて安いものじゃないし、いざとなったら小麦粉で代用していいじゃん、場合によっちゃ、きな粉でもいいんじゃね? 事実、インド・スリランカでは豆の粉がポピュラーで料理によく使われていて、日本で再現レシピをみたりすると、きな粉で代用されてるのをよく目にする。
とりあえず、近所の輸入食材取扱店に行ってみた。無かった。いちおう店員に聞いたら、「ヒヨコ豆ならあるんですけど」って。
だから考えたんだ。
ヒヨコ豆を煮潰して、それを丸めて揚げちゃえば、結果同じじゃね?
なのでやってみた。
煮豆つぶしてみる。
さーて、あとはコレに、何のツナギを入れるべきかな。
卵とかじゃ水っぽくなるし、味が変わるし。やっぱ小麦粉が妥当かな? それとも、ツナギ無しで、なんか揚げ衣を付けてみるとか?
ツナギ以外の副材料はどうしよう。飴衣かけることを考えたら、生地に砂糖はいらんでしょ。
あ、関係ないけど関係あるかもしれんから、一応書いておく。
小麦粉で揚げ菓子を作るときは、水で練った生地は小麦粉100gに対してベーキングパウダー3g以上と砂糖10g以上の両方を必ず入れる。熱湯で練った生地は必ず星型の口金で絞り出し、生地の表面をあらくせよ。小麦粉の後ろに、注意事項で書かれてる。爆発するよ。
いろいろ考えながら、実際潰した豆を触ってみる。
うーん、ツナギなくてもまとまるなあ。
そうだわな、味噌作るときに大豆を煮潰したときって、こんな状態だわそういえば。
とりあえずこのまま揚げてみて、様子を見るのもいいんじゃね?
無理みたいなら、なんかツナギ足してみよう。
フライドーーー。
いやっほうーー、見事に分離ーーーー。
うーん、じゃあもう一回生地を調整して、作りなおそっか。
などとこの江口が考える訳もなくーーー。
だって、生地はともかく、この油だ。
この分離して鍋底に沈んだ生地をさらって、油漉して、ってやるのか? メンドクセ。
はいはい、残った生地はいつものパンに練り込んで焼いちゃえ。
飴衣付けるつもりで鍋に砂糖大さじ6杯が溶けてスタンバイ状態だった、それも全部入れちゃえ入れちゃえ。
というわけで、これを今度から我が家では『モティチュールラドゥ』と呼ぶことにしよう。うん、そう決めた今決めた。 |
更新に長く時間がかかってしまいましたが、これにてようやくこの項を終わります。
マッシュされたヒヨコ豆が冷凍庫の中で3ヶ月眠ってたとか、そんなことは気にしないで次のクリスマスを待て!
次回予告!
決めてない!!