2005年12月。江口は浮かれていました。
〜江口とローストチキンの一日〜
肉。
ローストチキンが作りたい、と思い立ったのは去年の話。
あれから1年が経過しました。今年のクリスマス、江口はついに実行に移します。
その前に、ローストチキンの作り方をご説明いたします。江口は手元に、3種類のレシピを持っておりますが、いちばん作りやすそうなものからチョイス。↓こんなかんじ。
【材料】
- 丸鶏 1羽
《つめもの》- 鶏レバー 40g
- 砂肝 30g
- タマネギ 1個半
- にんにく 少々
- ごはん 2カップ
- パセリ、レーズン 少々
- 香味野菜 各適宜
《ソース》- 白ワイン 1/2カップ
- スープ 1カップ
- コーンスターチ 大さじ1/2(水で溶いておく)
- バター 大さじ1
- 塩、コショウ、バター 各適宜
【作り方】
レシピそのものはなんの問題もありません。ただひたすら焼くだけ。
この企画に於いて、一番困難な作業は。
そう、丸鶏の入手。
どこで売ってんねん、そんなもの。
実は去年に計画していて断念した、その理由はここだ。肉が手に入らない。いや、たぶん普通の肉屋に行けばあるんだろうが、江口はスーパーマーケットでお買い物をする人。近所に肉屋ないしな、あったとしても江口が買い物に行く時間じゃもう閉店しちゃってる。しかしクリスマス前には需要が出来て在庫を持っているのではないかとささやかな希望を持ち、3.4件に問い合わせた。答えはノー。しょんぼり。
なので今年は、ここからスタートです。
いつものスーパーの、サービスコーナーにいきます。金額と、入手可能日をメーカーに確認して貰って返答しろ、と伝言。あとは電話を待つ。
翌日、返答。
「丸鶏は、キロ790円で、1羽だと約2キロ。希望日の3日前までにご注文下さい」とな。
うわっ、1羽で1600円近くかかるのか! なんて金額だ丸鶏。と驚愕していたが。何のことはない、グラムに直すと79円だ。手羽先以下。まあそうだろうな、丸鶏なんて、ほとんど骨だろうしな。
無事に手配完了。
そしてわくわくしながら入荷日。受け取りに行きました。最終的には2.2キロで¥1680。かなり重く、そしてでかい。
わかりにくいかもしれませんが、これは体重計。乗せてみました。2キロありました。
ではみなさま、お待たせしました。丸鶏の登場です!
肉。
‥‥グロっ!
いや、江口だってカマトトぶるつもりはないのですが。なんだよ、この生物の死骸。土下座しているみたいだ。いやさ、斬首刑のあとと言った方がいいか。本体はともかく、首がなあ。骨髄とか神経とか見えてるし。
ともあれ。ここまできて引き下がるわけには参りません。さっそく下準備にかかりましょう。
まずは『首づる』を落とします。
‥‥骨が!
当たり前っちゃ当たり前なのだが。骨があるのですよ。首落とせったって、包丁じゃ切れやしない。もっと力入れたら切れるのかもしれないが、江口はヘンケルスのちょっといい包丁を使っている、欠けるのはヤダ。
なのでしょうがないよ。へし折ったよ、首。断面がめろめろになっていくよ。素手で触るもんだから生肉に体温が移りやしないかと心配になったよ。でもしょうがないよ、へし折ったよ。そして首部分は捨てたよ。勿体ないがな。今思えば、首づる取るところまでスーパーで加工して貰っておけばよかった。グラムちょっと減ったかもしれなかったし。
では次に、流水で腹の中をすすぎます。
中を覗いてみましょう。
内臓のカスが残っています。
分かってるよ、分かっている。内臓だって立派な食材だ。かつてそこに存在したものは、レバーでありハツでありズリだったはずだ。でも気持ち悪いには違いないじゃん。
尻から手を突っ込んで、血の塊を掻き出す。流水にざばざばあてながら。生肉って水に長時間さらすものじゃないんだが、そんなこと言ってられない。
そしてこの作業をやりながら思った。
例えば世間の、料理が得意なマダムたち。
「クリスマスはホームパーティーをしますの。手製のローストチキンもご用意いたしますわ」などと言ったりすることもあろう。しかし彼女たちはこんな風に鶏に腕をつっこんで料理をしているのだな。
ついでの余談だが、今日、地方ニュースで高校の食物科学生達が、実習の一環で50羽のローストチキンを作って売ったという。彼女たちもまた鶏に腕をつっこんだ。50羽ぶん。
ちなみに江口、この作業をやりながら、とても下品なネタを思いついてしまったのだが、さすがに乙女としてそれは黙っておく。
洗った肉の水気を拭き取る。
安定がいいので、座らせる。ペーパータオルで清拭。ちょいと羽を持ち上げて脇の下なんかも。お風呂上がりのおっさんのような鶏。このあたりから親近感が湧いてくる。
そして中も外も、キレイに塩コショウ。
味を染みこませている間に、中に詰めるピラフの準備にかかりましょう。
ピラフの材料です。レバーと砂肝。
ありません。
いや、売ってたんだけど、レバーと一緒にハツが5つ並んでいた。5羽分。そんなにいらない。これと別に砂肝も買えって言うのか。予算足りない。
とういわけでベーコンで代用。江口は気にしない。
あと、レーズンも無い。江口は気にしない。
そんな感じでピラフ完成。いつものチャーハンと同じだ。
ピラフを中に詰めます。頭の方が開いているので、そこを楊枝でまず塞ぐ。そしてみっちりつめて、尻も塞ぐ。最後はタコ糸で脚と一緒に固定する。
できあがりはこんなカンジ。
観念しました。
腕も縛ってるもんだから、どこからどうみても下手人。
これで下準備は完了。あとは焼くだけです。
〜翌日〜
さて。一晩冷蔵庫で寝かしていたチキンちゃん。
手順として必要だったわけではなく、単に昨日のうちに準備しておかなきゃ間に合わなかったからだ。
では焼きます。全面にバターを塗り、230度でまず10分。とりあえず、表面を焼き付けるのね。
焼き終わったら、一旦降ろして、香味野菜(この時はニンジンとタマネギ)を網の下に入れて、180度で更に10分。
鶏肉を乗せ直して、今度は180度で15分。
江口はこの温度を信用しておりません。
25分焼き終わったあとで、更に30分焼くことにしました。
→ → → → → → → → 55分経過。
念のため、温度を更に上げて、もう10分ほど焼いてみます。
表面は、一通り焼けたようです。オーブンレンジから取りだし、肉は一旦別の場所に避難いただき、鉄板に残った野菜でグレイビーソースを作ります。コーンスターチなんてものは我が家には存在しないので、片栗粉で代用。効果は同じ。
ソースも無事に完成。その他の料理も出来上がりました。スパークリングワインもほどよく冷えています。
クリスマスの食卓、完成です!
コタツだけどな。
それでは、いよいよローストチキンにナイフが入ります。果たして、完成してますでしょうか?
‥‥‥‥生焼けでした。
あんなに焼いたのにさ。
というわけで急遽鉄板に戻す。オーブンで焼いてもまだ時間がかかるだろうと、ガスコンロに乗せてアルミホイルで蓋をし、ワインをぶっかけて蒸し焼きに。それでも更に30分ちかくかかった。最後に、もう一度オーブンで焼き目を付けて、今度こそ完成。出来上がった頃には他の料理を大半食べてて、けっこうお腹膨れてきてたんだけど。
それでは、今度こそ本当に、ローストチキンの完成です。
ナイフを入れましょう。おお、火はようやく通っています。
‥‥骨が!!
当たり前っちゃ当たり前なのだが。焼いたところで骨があるのですよ。
なので一番切りやすかった、胸肉からいただきます。
うまー。
ええ、普通に美味しかったです。まあ鶏肉に塩コショウして焼いたモノ、そんな変な味になることはないでしょう。グレイビーソースも美味しいですよ。つめもののピラフも美味しいですよ。肉汁みっちりでさ。
では次に、腿に行きます。
もっとうまー。やっぱり腿は脂が多くて美味。ダメ発言だー。
たらふくちょうだいいたしました。
しかし覚えておいででしょう。鶏肉は2キロ。
まだまだある。しかもピラフだって減ってない。
どうしようかな。知らないや、もう。
〜さらに翌日〜
おはようございます、クリスマスパーティー開けて翌日。自分がアルコールとにんにくの匂いで覆われているのが分かります。今日も仕事です。頑張りましょう。
出勤は午後からです、なので今のうちに、チキンをなんとかしましょう。
まず、手羽をもぎます。これが今日のブランチ。
それ以外の場所の肉を、とにかくそぎます。固まりで食べることは諦めました。棒々鶏のササミのように、ちまちまちまちま削いでいきます。それでも大きく切れたモノは、見栄えがいいので今日のお弁当のおかずにします。
そのまま削ぎ続けると、あばら骨が見えてきます。中にはピラフ。
ピラフも別の器に除けておきましょう。
さあ、鶏肉とピラフ。どうしたものか。
ドリアにしました。
ホワイトソース作って、そこに鶏肉の欠片ぶちこんで、器にピラフ入れてソース入れて、上からチーズとパン粉乗せてトースターへ。
ただでさえカロリー高そうなモノに更に乳製品を追加。恐ろしや恐ろしや。
2皿ぶん出来たので、ひとつは冷凍庫に。
その最後の一皿を、今日(12月29日)、やっと食べ終わりました。
これで江口の浮かれパーティーは終了です。
決してなかなか更新しなかったわけではなく、今日までネタが続いていたのですよ。嘘。ごめん。
ともあれ、長らくのおつきあいありがとうございました。
だからこれはもう予備ネタじゃないって。