あれから、どうして助けたらいいか、けんとうもつかん。
−何という無責任な!
『あやうし! ライオン仮面』 大人気まんが『ライオン仮面』、しかし9月号でみんなのヒーロー・ライオン仮面が大ピンチ! どうしたって助かりそうになり我らがヒーロー、いったいどうなるんだ!? そうだ、原作者ならこの絶体絶命の危機をくぐり抜ける手段を用意しているはずだ。じゃあ聞きに行こう。というわけでドラえもんが向かった先は原作者フニャコフニャ夫邸。しかしフニャコ先生ったら、何も考えていないんですって。
フニャコ先生ったらなんて無責任な。 このすっかり後々レギュラーになってしまうフニャコ先生。どう考えても藤子不二雄がモデルでしょう。そう、先生自身が後先考えない展開をしてしまうことがしょっちゅうあったに違いない。『ドラえもん』の連載開始前の有名な話で、『机から何かが飛び出してくるという予告編だけ作って、話の内容はまったく考えていなかった』というのがあるが、まさにそれだろう。あと、『オバケのQ太郎』も、連載の打ち合わせをする当日にスタジオに到着するまで、いや到着した時点でまだ話ができていなかったそうだ。 長く話(連載)を続けていると、なかなかハラハラするイベントというのは起こせない。で、一番簡単に起こせる大きなイベントは『誰かが死ぬ』であることが多い。この時のライオン仮面がまさにそれだ。主人公がヒロイン(?)ともども、生命の危機。そのあとに弟のオシシ仮面が出てきたと言うことは、きっと主人公入れ替わり=死んでるんだろう。しかしこの『死に』イベントは、インパクトが大きい分、もし方向を見誤っていたときの修正が非常に難しい。死んじゃってるんだから簡単に生き返れないし、まさか崩れた建物の地下に潜り込んでいてマンホールの蓋を開けてヤッホーなんてオチにはできないだろう。なので主人公が死ぬと、それは最終回のつもりでいないと本当にどうにもならない。 そしてフニャコ先生は死なせタイミングを見誤ったのだろう。そのあとにぞろぞろ出てくる一族仮面。もう収集が付かなくなってる典型。『いとこ』で『オカメ仮面』ですよ。どうするよ。 まるで藤子先生自身が、この回の話をどうにもできなかったかのように思えてしまう。いや、もしかしたらそうだったのかもしれない。あやうし! 藤子不二雄。
【ひみつ道具】 タイムマシン
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もう間に合わないわ。わるいけど、来年のクリスマスまで、まって。
−1年も!??
『日づけ変更カレンダー』 今年のクリスマスは水曜日。のび太くんはクリスマスプレゼントにローラースケートを貰うことになっていた。しかし今日は天気のいい日曜日。こんな日にローラースケートで遊んだら気持ちがいいだろうなぁ。でもママは「クリスマスにはまだ早い」と買ってくれません。じゃあクリスマスにしちゃえとのび太くん。勝手に日付を変えられちゃったせいで、せっかくのパパの休みは台無しだー。
どうせ冬休みなんだろうから、がまんしろよのび太。 ところで今気が付いたが、『ドラえもん』って、サンタクロースがいないってことが大前提になっている。子供向け漫画なのに。小学1年生から話は掲載されているはずなのに。 そう、のび太くんは夢のない子供です。クリスマスプレゼントは慣例に則り親から貰うもの。だから自分のリクエストに添ったモノを貰えるもの。『他人からプレゼントを貰う、わくわくドキドキ』を一切漂わせようとしません。だから希望どおりのものが貰えないとガッカリして、感謝の気持ちを何一つ表さない。ママはせっかくロマンチックに『クリスマスの晩に渡すもの』という演出に拘っているのに、欲を先攻させてそれを台無しに。まったく、かわいげのないガキであるよ。しかし、非常に子供らしいっちゃ子供らしい。小憎たらしいほどに。 まあ、この話はとにかくママがオイシすぎる。いやたしかに、後ろであたふたしているパパもそれなりにオイシいのだが、ここはママだろう。22日になってもまだクリスマスツリーを飾っていないママ。そのくせツリーを重要がっているママ。テレビに文句を言うママ。日曜日に買ってこられなかったから来年まで待てと言い張るママ。買ってきたモノを息子の前に見せておきながら、それをしまうママ。 きっとママにとってはクリスマスイベントは大事なものなのだろう。だが忙しい主婦になってしまっては、それを十二分に堪能することも難しく、しかしなんとか頑張っているのだ。そうだ、そうに決まってる。
【ひみつ道具】 日づけ変更カレンダー
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どうしてしずちゃんのとこで、パンツなんかわすれてきたの。
−よかった、小学生で。
『ママをとりかえっこ』 のび太・スネ夫・しずかちゃん。それぞれがそれぞれのママに大説教をくらい、「うちのママは鬼だ。よそのママとは比べものにならないくらい」と己の不幸を嘆く。(本人達にとっては)かなり深刻ななやみっぷりを見かねたドラえもんが、「じゃあしばらく、よそのママの味を味わえ」と、いつの間にとったかママと子供達の写真を取り出す。
そんなオチか。のび太(推定10〜11歳)、同級生の女子・しずかちゃん宅でパンツを忘れて帰宅。「どうしてパンツなんか忘れてきたの」って、脱いだからに決まってるやないけ。良かったなぁ、小学生で。これが女子高生で内田春菊にでもかかれば、ママからは間髪入れず「どこの男の所で脱いできたの!」って、まさに子供にだって言い分があるんだから、もう少し思いやりというかやさしさというか‥‥。ものすごくアサッテな話になってるな。スマナイ。 しかし、やっぱり江口はのび太のママが好きだ。子供に対して毅然とした態度をとっているのは、3人のママのうち、タマ子だけだ。しずちゃんのママは、いきなり謝る。「さっきのことゆるしてね」。子供の反省を待たずして、先に「言い過ぎたわ」と謝る。子供が謝るのが先だろう。もっと駄目なのがスネ夫のママ。小遣いをやって、それでご機嫌伺いをしている。こんなだから、スネちゃまは増長するんだ。 そこにきて、のび太のママ。おそるおそる様子を伺いにきた息子(この時はスネ夫だが)に、「おやつなら戸棚の中よ」と、追い出されても泣きながら帰ってきた息子を普段どおりに迎える。まあ、もしスネ夫が堂々と帰ってこようものならママも不愉快だっただろうが、あの『おそるおそる』が効果あったな。ママからしたら、「ぼくはもう家に入ってもいいですか?」な姿勢に見えたはずだ。そんなことされたら、ママも「もういいわよ」と言うしかないだろう。その答えが、「あなたはこの家の子だから、あなたのおやつがありますよ」なワケだ。 のび太のママはステキだ。のび太のママにしておくのが勿体ない。なんであのママの下で、まともに育たないかなぁ、のび太って。
【ひみつ道具】 家族合わせケース
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電話がながすぎて、遊びにきてたのび太さんが、帰っちゃったんじゃない。
−人が来ているのに、30分か‥‥。
『シャーロック・ホームズセット』 小説『シャーロック・ホームズ』を読んだのび太はすっかり名探偵に憧れ、身の回りに起こる事件を解決しようと大ハリキリ。そんなとき、しずかちゃんの家で大事なモノが消えて無くなった。さあいまこそチャンスだ。名探偵・のび太の大活躍をお見のがし無く!
初期のしずちゃんは、のび太をことごとく蔑ろにする。遊びに来ているのに30分放置。家に尋ねてきたのにさっさと追い返し、居続けたのび太に対して「まだいたの?」。‥‥のび太、なんであんたはしずちゃんが好きなのか? しずちゃんって、教室でもこんなカンジなのかなぁ。女子の間で嫌われていそうだなぁ。あ、だから男友達しかいないのか? さて、このひみつ道具『シャーロック・ホームズセット』とはすばらしい道具である。まだ事件の全容も、被害にあった物品についての詳細も聞かされておらず、犯人が犯行の自覚が無いにも関わらず、ぴたりと犯人を言い当てる。こんなのがあったら、未来警察は必要ないんだろうか。それとも、これはたんなる『ごっこあそび』用の道具であり、未来犯罪はこれの作用にひっかからないように手を加えられているのだろうか。21世紀ではこんなに高性能なこの機械も、22世紀になればおもちゃピストルと同じ扱い。 ついでの余談だが。 この話では、のび太が珍しく活字を読んでいる。しずちゃんが図書館で借りてきた本なんだから、当然小説版ホームズだろう。決して漫画版ではないはずだ。だってしずちゃんだから。あと、児童図書って、けっこう推理モノが多い。何故だろう。人気が高いのかなぁ。実際、江口も好きだったしな。
【ひみつ道具】 ホームズ・セット(手がかりレンズ/推理ぼう/レーダーステッキ/ズバリパイプ)
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つっかえて、はいらない。
−タテにしろ!
『スケジュールどけい』 時間の無駄遣いばかりしているのび太くん。今日もあれこれやらなくちゃいけないのに、ぼうっとしたまま。だらしなさに見かねたドラえもんは、スケジュールの管理をしてくれるヒミツ道具を出したが、横のものを縦にすればいいという思考回路のないのび太のせいで、ドラえもんがのび太のスケジュールを守らなくちゃならない羽目に。
これはもう、なんといっても「つっかえて、はいらない」に尽きるだろう。時計の口に、スケジュールを書いた紙が入らない、ああどうしようと、そこで行動の止まるのび太。じれったいな。じれったいというか、そこでどうにかする頭もないのか、のび太は。まあそこで、わざわざのび太の手からメモを奪って代わりに入れてやるという、ドラえもんの甘やかしもどうかとおもうが。ロボットのくせに短気なんだから。一言、口で、「縦にしなよ、のび太くん」と言えばいいのに。ロボットの思考回路もその程度か。 いや、ドラえもんの初期設定は、子守ロボットのはず。つまり、かなり低年齢の子供を相手にした応対をするようにプログラミングされているのか。3歳児ぐらいか。じゃあ納得いくな。「ママ、つっかえて入らないよ」「貸してごらんなさい、のびちゃん。こういうときは縦にすればいいのよ、ほら」と、やり方を教えてやっている段階か。じゃあ仕方ないな、ドラえもんはプログラムどおりに動いただけなんだからな。 ところで、この『ちょっと工夫すればうまくいくだろう』という事態、現実世界でもいい大人が案外出来ていなかったりする。たとえば本屋で雑誌を差してるラック。たまに、帯の付いている本が一緒に入っていたりして、抜いた雑誌を再度差そうとしてもその帯がひっかかる時ってあるよね? 押し込むなよ。押し込んだら帯が破れるに決まってるだろう。たとえば背表紙を向けて並べている本棚。一冊抜いて、再度戻そうとするとき。本の隙間が狭くなって入れづらくなってるとき、あるよね? 左手使いなよ。片手じゃ難しいだろう、せっかくあんたは両腕とも健康に動くっていうのにさ。
【ひみつ道具】 スケジュールどけい
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べえ、ほんとは四月一日だよ。
−さすが詭弁王・ジャイアン!
『うそつ機』 今日はエイプリルフール。さっそくのび太くんはジャイアンを騙します。でも結局うまくいかず、逆に騙し返されるほど。スネ夫にもしずちゃんにも騙され続け、イヤんなったのび太はドラえもんの道具で大嘘つきになることに。
まあ、このジャイアンの頭の回転の速さというか。いちおう、ジャイアンは勉強は出来ない設定である。のび太ほどではないが、0点をときどき取ったり宿題を忘れたりする(しかしジャイアンが宿題をサボろうとしている場面にはお目にかかったことがない。彼の『忘れた』は、本当に忘れていたのだろう)。でもたぶん、頭が悪いワケじゃないはずだ。出来杉が努力型の秀才なら、ジャイアンは天才型。将来的に何か発明したりするのは、出来杉じゃなくてジャイアン。 さらに言うなら、こののび太に騙されるジャイアン。怒って殴ろうとするが、「今日はエイプリルフールだよ」とのび太に返される、それを「おまえなに言ってんだ、今日は4月2日だ」と言って殴っていた。ジャイアンが単なる乱暴者なら、「そんなの関係ない」と言って殴るだろうが、このウソ返しで殴る口実を作っているところがまたニクい。彼の心の中には「そうか、エイプリルフールか、じゃあウソつかれても仕方ないな」という感情があったはずだ。あったからこそ、ウソ返し。きっと本気で殴るつもりはなかった、でもここでのび太を殴ってこそ俺とのび太のコミュニケーションが完成すると思ってのことだろう。ステキジャイアンー。 しかし、この『うそつ機』でのび太がついた大嘘が「火星人がせめてきたぞう!」。藤子Fワールドに於いて、群衆をパニックに陥れるウソはもうこれしかないだろう。面白がってるなあ、F先生。
【ひみつ道具】 うそつ機
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帰る!
−くじびきに賛成したくせに。
『スーパーダン』
【ひみつ道具】 スーパーダンごっこに使う風呂敷
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定期預金だと、十年で倍くらいになる。
−1974年頃のおはなし‥‥。
『ボーナス1024倍』
【ひみつ道具】 タイムマシン
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