30代という年齢は、人生のひよっ子が、人生の研修を終え、 人生で最も闊達な、ハラハラ、ドキドキ、ワクワク感を味わっている時だと思う。 その貴重な時を僕は、前半を病院で寝たきりで無為に過ごし、後半を身体障害者施設で無駄にした。
 僕のいた身体障害者施設というところは、制限付きでたばこが吸えた。制限付きでテレビが観られた。食事に白米が出た。しかし、それ以外は、刑務所となんら変わらなかった。

 『 幽閉 』 では、身体障害者施設にいた時に、

 『 愉悦 』 では、そこから脱出した後以降に、

各障害者の機関誌、会報等に書いたものを載せている。

 平素はあまり意識することもない、自由という空気のようなもの。けれども、そんな空気の薄い場所での生活を一度体験すると、そのありがたさが何ものにも代え難いものだと、常に意識の片隅に存在するようになる。そしてそれは何気ない日常のくり返しに喜びを喚起してくれている。