発泡スチロールプランク翼の製作方法

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更新日 98/05/14


発泡スチロールプランク翼の製作について

【準備するもの】
@発泡スチロールボード
ホームセンター等で売っている断熱・保温用の発泡スチロールボードで、サイズは900×1800の物を購入しました。
発泡率につきましてはよくは知らないのですが、何種類かありまして私は2種類のものを使用しています。
発泡率の高い物はミニグライダーやS400クラスの機体で、また発泡率の低い固めの物は2m以上のグライダーか薄手の主翼を製作する時には発泡率の低いものを使用すると良いと思います。
(発泡スチロールボード選定基準)
・軽量化の必要な機体については発泡率の高いものを選択します。
・薄手の翼、又は強度・硬度が必要なものについては発泡率の低いものを使用しています。
私は強度については2mクラスまでの翼につきましては補強方法を施すことにより重量の違いはあれど高発泡・低発泡の違いはほとんどないと考えています。
プランク材、スパー方向のカーボン等の補強、スパー材、接着剤の選択等によりどのようにもなると思いますので手軽に入手できる方で気軽に作って見てはと思います。
Aコアカッター
600〜900mmのものが切れるものでしたら手切りでも半自動のものでも良い私は半自動の自作カッターを使用しています。
B電源
コアカッター用の電源ですが、カッターに合わした物であれば何でもOKと思いますが最低条件として出力調整の出来る事が必要です。
理想としては定電圧・定電流のものがあれば良いと思います。
電源はAC・DCどちらでも良いですが、ACの場合はホームセンターなどで売っています半田ゴテ、白熱球等のコントローラ、DCの場合は5〜20Vくらいまで制御出来る5A程度のシリーズレギュレータ等の安定化電源が良いと思います。
他の電源として、12Vのバッテリーを使う場合はKOのBX202(KO212はダメ)の充電器が使用できます。
私はシリーズレギュレータ等の安定化電源とボイジャーとKOのBX202の両方を使っています。
ただ、この手の充電器の使用に関しましては御本人の責任でもって行ってください。
他の充電器にも使用できるものがあると思いますが情報は持っていません。
ただ、ニクロム線等については温度で抵抗値が変わり、電圧電流が不安定なので充電器を使用する場合はオートカットしないように注意する必要があります。
質問に対して(98/05/14)
Q:ニクロム線の温度調整にBX212は無理とかいてあるではないですか。
これはいったいなんででしょうか?
A:BX202はOKでBX212は駄目と言う件ですが、基本的には同じ設計で作られていますのではっきり言いまして両者OKです。
BX212はマイクロプロセッサ内臓で定電流装置としては余計なチェック機能が働き、ERROR5かERROR7が出る可能性があり、スタートしない場合が多々あります。
そういう理由で駄目と書いただけです。
コアカッター(熱線)につなぐ時にはまた少々留意することがあります。
BX212は常時出力電圧チェック機能があり、熱線の抵抗値によっては負荷電圧が約20V以上になるとエラーになりますし。
また接続方法によってはスタートSWでスタートしない場合がある(ERROR5)ので注意が必要です。
ポイントは充電器から熱線までの距離は極力短く太い線で接続し、接触抵抗の変動が無いようにしっかり接続
する必要があります。(ワニグチクリップでの接続では抵抗値の変動によりオートカットされます)
【私のデータ】
私はニクロム線、約7〜8Ωで1.6A〜1.7A、12〜13Vで使用しています。
約20Wの熱線抵抗です。
C翼型のテンプレート
翼型の中央と翼端の上面、下面それぞれのテンプレートが必要です。(最低4枚)
テンプレートの製作に関しましては、長谷川さんが書いていらっしゃいます「翼型」の本やRC技の翼型講座からのコピーをとり縮小・拡大をするか、その座標をCAD等に入力して出力するか専用APなどを使用して基本型を製作しベーク板・アルミ板・航空ベニヤ等で製作可能です。
D両面テープ
テンプレートをスチロールに固定する時に使用します。
別の方法としては長めの虫ピンで2〜3ヶ所固定するか、台にセットする方法もあります。
確実に正確に固定出来ればどのような方法でもOKです。 

製作例です
@テンプレートの製作です。
この写真はエクセルコンペ用に製作したテンプレートで2段テーパとなっているため、3セット6枚あります。(翼型はRG15)
材質は加工のしやすさから1mm航空ベニヤを使用しています。
材質は熱に強く、目が細かいもので熱を吸収しにくいものであればなんでも良いと思います。理想としてはベーク板でしょうか?
テンプレートの製作のポイントとしては全て下面(直線部)を基準とします。
テンプレートの重要なポイントとして熱線がスムーズに滑ることが大前提です。私の場合は熱線の滑走面に低粘度の瞬間接着剤を流して硬化させて1200番のペーパーで面取りして磨いています。
熱線の熱では変色する程度で燃えません。   
Aスチロールのセット
カットする翼の平面形に正確にカットしたスチロール作ります。
テンプレートをスチロールの下面と前縁を基準にぴったり合わせて固定します。(私は事務用の両面テープで固定しました)
テーパ翼の場合は上下面左右がはっきりわかるように明記しておきます。
カット時にスチロールが滑らないように固定し、上面に雑誌等を乗せてしっかり固定します。
 
Bコアのカットその1
カットのコツとしては必ず前縁から切ることです。
後縁からカットすると翼型の後ろの薄い部分が融けて正確なカットが出来ません。
カットする場合は当然ですが上面の前縁からカットしてください。
熱線の張り具合ですが、強ければ強いほど良いです。
ただし、ニクロム線の場合は通電を止めると収縮し、切れる場合がありますので注意して下さい。
熱線を前縁部にセットして準備OKとなったらSWオンで気持ちよく切れて行きます。
くれぐれも火傷に気を付けて下さい。
Cコアのカットその2
写真はおもしを載せていませんが、カット時には雑誌2冊程度の本を載せてください。
肝心のカットスピードですが、スチロールを色々な温度でテストでカットして様子を見て下さい。
カット中の熱線の周りが丸く融けるような温度は高すぎます。
適正な温度の場合、ほとんど熱線の幅で切れます。
カット面に薄く細く糸を引くようであればOKでしょう。
手切りの場合は熱線の温度と手の力加減に注意してください。
あくまで熱線が自然にカットするスピードで引きます
また、左右同じスピードでCUTするのも大切です。
半自動カッターの場合は全く問題ありません。
Dカット中の全景
カットスピードは翼弦200mmで約1分ほどです。
カット中はそばに付いてカットスピードを調整します。
また、部屋の換気には十分注意してください。
締め切った部屋では絶対しないでください。
手切りの場合、早く引きすぎると中央部が肉痩せして使い物になりませんので注意してください。

 それにしても汚い部屋
Eカット状態とテンプレートのセット状態
良い感じで切れています。
ここで経過時間25秒です。
Fカット後のスチロールコア
カット後の主翼です。
この発泡スチロールは発泡率の低い物(固め)を使っています。

注意! 片翼を2枚作らないようにコアの上下左右に注意!
G生地完成
今回製作しました翼はノーマルエクセルコンペの翼が破損したのでカンザシ部、主翼取り付け部はそのまま切り取って事前にコアに埋め込み、カーボンロービング・マイクログラス等を使ってエポキシレジンで補強しました。
エルロンコード溝はコアの状態で半田ゴテを使って金定規を当てて幅3mm深さ3mmの溝を付けました。
面白いように溝が出来ます。自作ならではです。
プランクは1mmのハードバルサを使用し、アルコールで薄めたエポキシレジンで貼りました。
ここまでは好きなのですが、ここからの工程が大嫌いです。
H完成状態
蛍光フィルムで残っている物を使って貼ったエクセルコンペ
変なカラーになりました。(見やすいことは見やすいですが)

機本来の滞空性能はかなり犠牲になっています。