T-D

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「いけると思ったんだけどなぁ」

シューズロッカーの前で二人して靴に履き代えている時に、大地がふ

とこぼした。「斎藤って、絶対怪しいと思うんだけどなぁ・・・・」

彼の言葉はそこで詰まる。

「そう、ですね」

亜由美は履きかけの靴の爪先をトントンと、床で叩きながら相槌を打

つ。彼女も斎藤 祥子の存在をそのままにしていた事を後悔していた。

「でも、三宅さんの説じゃ犯人は男なんだろう? 斎藤は女だ

し・・・・」

と、大地は腕を組んで考え込む。

「女性でも、男性に見える事はあります」

「え?」

大地の目が亜由美の顔を捕らえる。真剣な表情がいい。

「今回の事件が、清香先輩と比嘉先輩の二人を狙ったものだとしたら・・・・」

亜由美の目は真っ直ぐに大地を見返し、二人の視線がピタリと合致す

る。

「犯人は、斎藤 祥子・・・・!」

「そう言う事になりませんか・・・・!?

その言葉には応えず、大地はゆっくりと歩き出した。

「先輩?」

「麗子さんはああ言ってたけど、こうなってくると僕らにもまだ逆転

のチャンスは残ってるって事だな」

「・・・・?」

そして、大地は振り向いた。「亜由美くん」

「は、はい」

「斎藤 祥子に会ってみよう・・・・!」

 

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