恋愛日記 |
<1> ぼくは、今、東京に向かう電車の中にいる。 そこには、どうしても会いたい人がいるから。 今日は、その人に初めて会える。ずっと会いたかった彼女に・・・・ ************************************** 今から、ちょうど2年前の事。 ぼくは、周りの状況がとても嫌だった。 何もかもに嫌気をさしていた。仕事が忙しかったせいもある。 そして、何気に出会い系のサイトへと初めて足を踏み入れた。 そのサイトは、個人運営で、しかも良心的と言う有名なサイト。。。 ぼくがここに辿り着くのも、それほど苦ではなかった様に思う。 初めは、おもしろ半分だった。何か新しいものに出会いたかったのかもしれない。 ただ胆に、何かの刺激が欲しかったからかもしれない。 そこには、それぞれのアピールする文章がたくさん並んでいた。 趣味の事、仕事の事・・・・こんな人募集・・・・などなど そして、誰にメールを送ろうかと考えていた時、ひとつの文章に目が止まった。 「気になったら、メールして。」 ぼくの心は、何かに反応したかのように、その文章に釘付けになっていた。 <2> 紹介欄で見る文章に、何故か引かれてしまったぼく。 ここは、流れも速く、30分もすれば、その文章を探すのは 難しくなるだろう。数多く書き込まれる、文字の渦に飲み込まれて行くからだ。 ぼくは、迷う事をしなかった。 初めから、一人だけにメールを送ろうと心に決めていた。 この人を、その一人にしよう。 初めて書く文章に、少々の戸惑いを感じながら、ぼくは言葉を選んで行く。 しかし、どうしてもいい言葉が思い浮かばない。 世間の人々は、一体どう書いているのだろうか。 疑問を抱きつつも、どうせ送るなら、飾らない言葉で送ろう。 そして、一つの文章を書きあげた。 「はじめまして、勇(ゆう)と言います。気になったのでメールしました。 もし、また、気になったらメールください。」 そして、祈るように、ゆっくりと送信ボタンを押した。 <3> 次の日、仕事を終えると、急いで家に帰ってきた。 夜の9時を過ぎた頃だ。食事もそこそこに済ませると、パソコンの前に座る。 メールを受信する時、すごくドキドキした。 反面、返事がなかったらどうしよう。。。不安もあった。 そんな不安と期待が入り混じる心を抑えている間も、メールは受信をはじめる。 しかし。。。。 そこには、いつもと変わらぬ、メルマガだけが受信されていた。 何だか、期待していた自分がバカのように思える。 ふふふ。 まぁ、そんなものだよな。 少し、自分を納得させている、自分を客観的に見てしまってる。 さて、風呂にでも入るか。 そこには、またいつもの自分の生活が待っているだけ。 何の変化もなく、ただ、繰り返されて行く毎日のリズムが・・・・ 明日はいい事あるかな。 風呂から出たら、もう一度メール受信してみようかな。 淡い期待を胸に、リズムをこなして行く。 |