僕の伯父さま


勝負!!

 というわけで・・・・

第一勝負(?) 乗馬

「リリーナの側にいるにはこれくらいはやってもらおう!!」
 黒馬に乗ったゼクスがいななく馬を操りながら叫ぶ。
 対するヒイロは白馬。
「まぁ、星の王子様が白馬の王子様ね」
「なんのこと?」
「リリーナ様・・・(汗)」
 ギャラリーの声を無視し、パーガンが旗を持つ手を挙げた。
「えー、では。・・・・・ガンダムファイ・・・ではなく、
レディ・・・ゴーーー!!」

 ばからばからばから!!

−−−−−−−−−−−僅差で白馬

「っく!こんなはずでは」
「重力を忘れすぎだ」

 ヒイロ 1勝


第二勝負  射撃

「リリーナを守るためには、正確な射撃が必要だ!」
「当然だ」
 ドーリアン邸地下にある射撃場に、ゼクスの声が反響する。
「うちの地下にこんなのがあったなんて・・・」
「レイ。イヤーマフをつけないとうるさいぞ」
「ありがとうございますノインさん」
「ヒイロー!ふぁいとーーー」

 ばんばんばんばんばんばん

「うわぁ。ぜんぶ真ん中だ」
「これでは勝負にならないな」
「さすがヒイロとお兄さま」

−−−−−−−−全弾命中

 引き分け


第三勝負  持久走

「リリーナを守るためにはスタミナが必要だ!」
 ふたりしてランニング用のウェアに着替えてストレッチ。
「これって、僕らも追いかけてみなくちゃいけないの?」
「大丈夫よ、レイ。二人のことだから・・・」

 よーい、ドン

    ばひゅーーーーーん

「すぐに帰ってくるわ」
「・・・持久走って全速力で走るものだっけ?」
「レイ、あの二人は特別だ」

どどどどどど
「ぬぉぉぉぉおお!!」
「・・・・っく!」

−−−−−−−僅差でゼクス

「火星での肉体労働の成果だ!」
「・・・・まだまだ!」

 ゼクス 1勝


第四勝負  フェンシング

「リリーナを守るためには(以下略)」
「・・・・」
 ヒイロ、無言でマスクを持って定位置へ。
 ドーリアン邸にある競技場の隅に、例によって3人が観覧中である。

「Rassemblez! Saluez!!(ラッサンブレ・サリュー)(気をつけ、礼)」

「とうさまが他の人とフェンシングするのって初めてみるな」
「そうなのか?」
「いつもはレイの稽古をつけているだけなので」

「En garde!(アンガルド)(構え)」

 2人がマスクをつける。
 空気が瞬時に張りつめる。

「Prets?(プレ?)」
「「Oui」」

「Allez!(アレ)(初め)」

 カンカンカンカンカンキンキィィィン

「見える!」
「なに!!」

−−−−−−ゼクスの胸元に剣先が当たる

 ヒイロ2勝


第五勝負  アクションゲーム

「リリーナを守るためには反射神経(以下略)」
「・・・・(本気)」
 巨大モニターの中には、2人のアバターが対峙している。
 コントローラーを握った二人は心なしかいつもと表情が違う。

「とうさま、僕にはゲームは目に悪いっていうのに」
「ヒイロが言うと説得力がないな」
「え?」

 スタート

 グガガガガ
  どきゅーんどきゅーん
きゅるきゅるきゅる

「す、すごい。どうやったらあんな風に指が動くんだろ」
「ふたりとも廃人だからな」
「あら、お兄さまも火星で?」
「当然だ。ゼクスがゲームから離れるはずはない」

 どしゅぅぅぅぅうん

−−−−−−−−−ヒイロのアバターが沈黙した。

「流石だな、ヒイロ」
「貴様もな、ゼクス」

 ゼクス 2勝


第六勝負  将棋

「リリーナを守るためには先を読む(略)」
「さっさと駒を振れ」
 
 からからかた

「ゼクスが先手か」
「先手?」
「先に打つということよ」

 ぱち  
        ぱち
    ぱち

「な、なんか、空気が重い?」
「地味な勝負だからな」
「二人とも、お茶でもいかが?」

ぱち

−−−−−−−−動ける駒がない

「ふっ。詰みだ」
「ちっ」
「駒を使うのは私の方が一日の長があるからな」

 ゼクス3勝


第7勝負  料理

「リリーナを守るためにはその栄養(ry」
「そのエプロン、どこから持ってきた」
「パーガンチョイスだ」
 ピンクのふりふり新妻エプロンをつけたゼクスに、他の一同は言葉も出ない。

「えー・・こほん。それでは、制限時間1時間です。始め!」

 かちゃかちゃ
  とんとんとんとん
        じゅーーーーーー
 ふつふつふつ
       がっちゃんどっこん
           ぐらぐらぐらぐら

「あら、ちょうどお昼ね」
「なるほど。さすがパーガン」
「しかし・・・・2人とも料理は大丈夫なのか?」
「「え?」」
「え?」

−−−−−−−−完成

「これは・・・・・」
「とうさまの勝ちだね」
「・・・はぁ。ゼクス、あなたは料理なんてしたことがないでしょう」
「くっ!不覚」

 ヒイロ3勝 

 作った料理はスタッフがおいしく頂きました(一部を除く)


第八勝負  情報操作

「リリーナを守るためには・・・」
「ああ、そうだな(棒)」
    
 かたかたかたかたかたかた

「ところで、情報操作って何をするの?」
「そういえば、そうね?」
「はっ。いかん!!ヒイロ、ゼクス!!」

「リリーナ様」
「どうしたの、パーガン?」
「今、レディ・アン様からご連絡がありまして・・・・。某コロニーにおけるテロリスト集団が保有していたMS工場の位置が判明し、その上そこの電力エネルギー供給のすべてのラインが停止したそうです」
「まぁ」
「・・・・・・それってもしかして」
「あぁ。その程度で済んでよかった」

−−−−−−−−収穫、テロリスト集団の摘発

「・・・ゼクス。確か貴様は、こちらは不得手だったはずだろう」
「・・・・・ぬぅ!!」

 ヒイロ4勝


第九勝負  テニス

「リリーナを守るためには略!」
「・・・・・考えてないだけだろう」
「うるさい!いくぞ!」

ぱこーん
             ぱこーーん
    ぱこーん

「ちなみに今回は時間の都合で1セットのみだそうだ」
「そうですわね。フルセットになるといつまでも終わらなそうですもの」
「1セットでも時間がかかりそうだよね」

「ぬぉぉぉお。トレーズ、私に力を!」
「なんだと?」
「ゼロ式サーブ!」

 きゅるるるるる

「ば、バウンドしない?」
「反則ものですわね・・・・」
「トレーズ様の力・・・?」

「作品が違うぞ、ゼクス!!」
「勝つためには何でも利用するのは戦士の常だ!!」

−−−−−−−−−−ぱしこーーん!

 ゼクス4勝


第十勝負  センス

「リリーナのそばにいるためには・・・・とりあえず行くぞ!!」
「・・・・はぁ」

「センスって?」
「ファッションセンスか?」
「あら、でもヒイロって・・・・・」

 ヒイロ・・・ジーンズに黒のTシャツ
 ゼクス・・・白のパンツにブルーのシャツ

「ヒイロって、昔からああいう格好しかしませんわ」
「ゼクスも昔からあまりバリエーションはないな」
「・・・・・・・・ただしイケメンに限る?」

−−−−−−−−−ファッション評論家を呼ぶまでもなく

 引き分け


第11勝負  漢字の書き取り

「リリーナの・・・・!!!」
「さっさと行くぞ」

「長そうだねぇ」
「まだまだ続くようだな」
「そういえば母様、午後の予定は?」
「さっきのテロリスト摘発騒ぎで混乱が収まるまで、会議も延期です」

   「醤油!」
「薔薇」
       「檸檬!」
     「鬱」
「葡萄!」
   「鳳凰」

「終わらないね」
「あら、制限時間が」
「・・・・引き分けでいいんじゃないか?」

−−−−−−−終わらない

  引き分け


第12勝負  機械整備

「リリーナの!!」
「いろいろ省略だ!!」
     ・
     ・
     ・
   「次!!」
        「ひ、ヒイロ!貴様!!」
「まだまだ!!」
    「ぬぉぉぉぉおお!!」
     :
     :
     :
     :



「ふぁぁぁああ」
「そろそろ終わりそうだな」
「パーガン。今までの対戦結果は?」
「はい。ヒイロ様7勝 ゼクス様7勝 引き分けが5 となっております」
「では、次の勝負で決着がつくな」
「着くのかなぁ」
「で、最後の勝負は?」
「最後は・・・・・・バーチャルマシーンを利用したMS対決となっております」
「うちって、そんなのもあるの!?」
「ヒイロたちが、未だにMSを極秘に開発している人たちがいるから、その組織を潰す時にMSの力を使うからって。大掛かりな戦闘シュミレーションもできるように開発したのよ」
「ゼクスも火星で同じようなものを開発させていたな」
「・・・・・・・・似た者同士?」
「「似てない」です」


第20勝負  MS(シミュレーション)戦

「やはり、我々の決着はこれでなくてはな!!」
 コックピット型のドームの中で、ゼクスが操縦桿を握りながら高らかに叫ぶ。
「その意見には賛成だ」
 もくもくと自分の機体のデータを呼び出しているヒイロ。
 外にいる3人の正面にある巨大モニターに、二人の機体が映し出される。
 もちろんというべきか、ウィングゼロとエピオンである。

 モニターの中央に、マイクを持ったパーガンが進み出る。

「えーでは。今度こそ。

 ガンダムファイト・・・・・レディーーーGoooOOO!!」

 ガシィィイイン

 二機が激しくぶつかった。
 閃光が部屋の暗闇を突き刺していく。

 決着の時は近い。

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