因子



第二次世界大戦が終わり、世界は幾多の戦争を経て米ソの冷戦時代に突入した。世界のトップを争う二大国はお互いを牽制しつつ、科学、兵器の開発にしのぎを削っていた。世界はこの二大国が起こす第三次世界大戦によって滅びるとまで言われていた。しかし、事態は一変した。ソビエト連邦が崩壊したのだ。
ソ連崩壊によって第三次世界大戦のような戦争は回避されたが、武力を目的とした科学技術は目的を失い、永劫の闇へと葬り去られた。
ソビエトの超人兵士計画もその一つである。
超人兵士は完成したが、超人計画被験者であるオメガレッド(:アルケディ・ロソビッチ)は、一時、日の目を見るものの、忍者集団ザ・ハンドの手に渡るまで封印されていた。
ソビエト連邦の超人兵士計画。それは致死因子「デスファクター」を持つミュータントと未知の金属カーボナディウムとの融合である。カーボナディウムはデスファクターを伝播するにはもってこいの金属なのだ。
デスファクターは、ウルヴァリンが持つ肉体再生能力(超回復能力)の源であるヒーリングファクターと反する物質とされ、生物を死へと至らしめる。
しかも、オメガレッドのデスファクターは安定しておらず、デスファクターを撒き散らさなければ、自らもデスファクターにより死に至ってしまう。
撒き散らさなければみずからも死んでしまうデスファクター・……オメガレッド、いったい君は何を撒き散らしているんだ?
はじめにヒーリングファクターとデスファクターの性質について考えてもらいたい。デスファクターはヒーリングファクターに反するものとされ、体力の弱った生物にそれぞれを与えると図Ω-1のようになる。
 
 
さらに弱る←(デスファクター)←【体力が弱った生物】→(ヒーリングファクター)→元気になる
 
図Ω-1
 
この事により、デスファクターとヒーリングファクターは、それぞれ同一事象のマイナス因子とプラス因子である事がわかる。どうりで、ザ・ハンドはオメガレッドのデスファクターを安定化させるために、ウルヴァリンをさらってまでもヒーリングファクターの謎を追っていた事がわかる。
 
次に、デスファクターが把握できたので、デスファクターで溢れかえるオメガレッドはどういう生命体なのか考えてみたい。
デスファクターの性質から考えると、デスファクターで溢れかえるオメガレッドの体力 (生命エネルギー)は以下の図のようになるだろう(図Ω-2)。
 
 
図Ω-2
もしかして死にかけ?(笑)。
では、どうやってウルヴァリンとあんな死闘をやったのだ?もしかすると、デスファクターの認識が間違っていたのか? しかし、デスファクターが、体力・生体組織を回復させるヒーリングファクターと対になっている事は一目瞭然である。とすると、温度のように体力(生命エネルギー)は基準が違うのだろうか。
温度の表現の単位は摂氏、華氏などあるが、もう一つ有名な単位にケルビン(K)という単位がある。これは、摂氏のように水の三態に基準を合わせたものと違い、原子の運動が完全に止まった状態(絶対零度)をゼロと置いた温度の単位である。したがって、ケルビンのゼロとは我々が常に用いる摂氏のゼロとは違い、マイナスは存在しない。摂氏零度をケルビンに換算すると273Kとなり、ケルビンのゼロは摂氏ゼロより温度が低い事がわかる。
この基準を生命エネルギーに置き換えてみる。
我々が考える死とは、摂氏のゼロのようなものではないだろうか?つまり、生命エネルギーとしては更に絶対死なるものが存在するのだ。オメガレッドが、我々の死よりも負の世界にある、レベルの低い絶対死の領域の生命体ならこれまでの疑問が解決される(図Ω-3)。
 

図Ω-3
このようにオメガレッドはデスファクターを安定化させるか、撒き散らさなければ絶対死が待っているという事になる。しかし、オメガレッドはデスファクターをすべて撒き散らしたとすると再び、我々と同様な死が待つ事になるのではないだろうか?
となれば、やはり、オメガレッド生きる道はデスファクターの共存しか考えられない。
オメガレッド君、君のデスファクターが安定化できるよう、我々は健闘を祈っておくよ。
 
 
 
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