by鉛 筆吉

  −異界からの侵略者−

 

 

 

 次の日。

 早速通常どおりの六時間授業だ。そして、その六時間目は、るり子の嫌いな数学だった。今日はいつにもまして黒板の公式が難しく見えていた。るり子がうんざりしていると、突然、頭に激痛が走った。

 『痛い……!』

 るり子は気を失い、椅子から崩れ落ちた。

 

 

 目を開くと、天井が見えた。

 「どう? 気分は」

 保健の先生が覗き込む。るり子はまだぼーっと天井を見つめたままだ。すると、ノックの音がした。

 入ってきたのは友人二人だった。

 「るり様、大丈夫ですか? わたくし、るり様が倒れたと伺って気が気でなかったですわ」

 涙目の魅智子がるり子の手をとる。蕗子も心配そうに彼女を見ていた。るり子はようやくはっきりとした意識を取り戻したようだ。疲れたような笑顔を見せると、口を開いた。

 「わたしは大丈夫。それより授業は?」

 その質問に、蕗子は時計を見せて答えた。

 「さっき終わったとこ」

 「じゃあ、あとお願いね」

 そう言い残して、先生は部屋を出ていった。

 蕗子は、るり子の顔色を見直すと、

 「貧血か何か?」

 と、真顔で尋ねる。るり子はゆっくりと上体を起こすと、首を横に振った。

 「いきなり頭が痛くなって……」

 「そう……」

 蕗子はそう言って口をつぐんだ。

 「でも、もう平気みたい。横になってたら直っちゃった」

 るり子は明るい元気な声を出した。その様子に、友人二人も口を大きく横に広げ、笑みを浮かべた。

 「るり様、お体には気をつけてくださいね。わたくし、るり様にもしものことがあったら……」

 魅智子は両手でるり子の右手を包み込むようにして握りながら瞳をうるませている。

 「もう、ミっちゃんたらおおげさなんだから」

 るり子がくすりと笑うと、蕗子もおかしそうに笑い出した。そんな二人の顔を見て、魅智子は一人口を尖らせてむくれている。

 その時、教室のドアが叩かれた。

 蕗子は返事をすると、ドアを開けに行った。

 入ってきたのは洪介だった。手には何やら大きな紙袋を持っている。

 蕗子と、魅智子は彼にあいさつをすると、

 「じゃあ、お邪魔虫は消えるとしますか」

 と言って、部屋を出ることにした。

 「どう? 具合の方は」

 洪介はベッドの脇の椅子にかけた。るり子はうなずいた。

 「良くなりました」

 洪介は安堵し、持ってきた袋をゴソゴソとあさり出した。

 

 

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