「開かれた開かずの間」     by 上山 環三

 

 その頃、寺子屋はノートパソコンで『開かずの間』に関するさらなるデータを調べていた。

 寺子屋は封鬼委員会のブレインである。表立って行動はしないが、こうした情報の収集・分析にはめっぽう強い。

 現在――、封鬼委員会は寺子屋も含めて四人。昨日麗子が電話で話していた一年生が、もし加われば、五人になる。

 細々と続いてきた裏封鬼としては、メンバーが五人以上になるのはめずらしい事だと言える。

 三宅 弘一は一時、一人で活動していた事もあるらしい。もっとも寺子屋はブレインだから、目に見える形での戦力になるかどうかは疑問だ(それでも、ある程度の術は知識として識ってはいる)。

 寺子屋と麗子は三年。まだまだ先はあるが、来年が心配であった。 検索が終了したと言う電子音が聞こえた。

 早速新しいデータに目を通す。

 「これは――!?」

 【順風高校内の倉庫で女子生徒が自殺】

 あの倉庫だ。逸る心を押さえ、詳しいデータを出す。

 ――十三年前。

 いじめ、首吊り自殺――。

 そして閉鎖・・・・。

 それを読んだ寺子屋は

 「・・・・そう言う事か・・・・!」

 と、口走っていた。

 何故三宅がただの倉庫を『開かずの間』にしたのか、その謎が解けた。――倉庫は、三宅が入学する前から閉鎖されていたのだ。つまり、彼はそれを利用したに過ぎない。

 とすると、封印が予想以上に早く破れた理由は・・・・!?

 「――閉鎖していた倉庫に、雑霊を封印する・・・・か」

 確かにいい案ではある。しかし――、待てよ・・・・と、寺子屋はモニターに目をやった。

 『自殺』

 その二文字が目に飛び込んでくる。

 ――自殺か・・・・!

 そうして、寺子屋は一つの仮説にたどり着いた。もしその仮説が正しいならばこの事件、一筋縄ではいかない。

 「麗ちゃんに、早いとこ知らせなきゃな・・・・!」

 寺子屋は生徒会室を飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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