清香を自宅に送った帰り――、麗子は三宅の運転する車の助手席に座っている。今度は彼女の家に向かう途中。 「護身石の通じない相手、ですか・・・・」 三宅に質問されて、麗子は鸚鵡返しに口篭もった。 もう、いい加減夜も遅い。普段なら睡魔に捕らわれ心身ともに心地よい眠りの世界にいるはずの麗子だったが、三宅の隣に座って、別の意味で心ココに在らずと言ったところか・・・・。 そうだ、と三宅は麗子を一瞥した。ニコリともしない。 先程――、清香を送る途中、三宅は彼女にはあれこれと質問していたが、その中でショーウインドーの不審火の話を二人は清香から聞いていた。当然、彼女にとっても始めてであろうその体験は、やはり二人の頭を唸らせる事になった。そしてこの質問――。 「難しく考える必要はない。簡単な事だ」 と、三宅は言うが、麗子は考え込んでしまう。 「・・・・相手の力が、護身石じゃ防ぎ用も無いくらい・・・・」 そう言いかけて 「あぁ、ダメです。見当もつきません・・・・」 麗子は潔く匙を投げた。その言いように、三宅はやっと苦笑いして 「相変わらず、だな・・・・」 「分からないモノは分からないんです! 先輩こそ分かってるんなら早く教えてください」 麗子は三宅を睨む。――それはやっと緊張が解け、久方ぶりに二人の仲が以前のような状態に戻った瞬間だった・・・・。 そして、三宅は徐に応えた。 「相手は妖術使いでも、悪鬼・怨霊・妖魔の類でもなかったって事だ」
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