by くらげ
「神と呼ばれた者達は、実に様々な姿をしていた」 ヌリシンハは開口ー番そう言うと、俺の反応を見ることもせずに次を話し始める。 「人間や魚、犬に猫に牛や馬。鳥に蛙に蜥蝪に貝。この宇宙に存在する生命の種類の数だけ神は存在する」 何やらまた話が大きくなりそうな気がする。 「・・・どうゆうこと?」 尋ねるばかりで芸がないが、分からないんだから仕様がないというものだ。 「地球にある宗教でこんな事を言ってるのがあったよね。『人間は神の写し身である。』とか『神は自分そっくりの土人形に魂を入れた。』とか。それは何も人間のみに限ったことじゃない。全ての生物がそうなんだよ」 「ということは・・・宇宙にいる生物皆に自分そっくりの神様がいるってこと?」 だとすればとんでもない話だ。一体どれくらいの数になることか。 「そうだよ。けど、それは当たり前のことなんだ」 何時もと変わらない淡々とした口調。その答えは予想してた通りのものだった。とはいえ、やはり驚かずにはいられない。 「はぁ〜〜〜・・・・」 取り敢えず今一度気持ちを落ち着けるため、俺は何時もより一際永い溜め息を吐く。 「で、どうして当たり前なの?」 僅かだが気持ちに落ち着きが戻った俺は、当たり前と言い切った理由を尋ねる。 「うん。それはね、こう考えていくといい。そもそも神というのは一体何なのか?」 言ってこっちを見てくる。俺が答えろ、ということだろうか。 「う〜ん・・・そう言えばそんなこと考えたことなかったな・・・」 という訳で少し考えてみる。しかし、やはりよく分からない。分かる事といえば、宗教や神話など国によって異なるが、偉そうに神なんて言っているものの、何かしら人間臭い行動をとっているような気がする、という事くらいだろうか。彼らもちょっと凄い事が出来るだけで、中身は俺達人間と何ら大差ないのかもしれない。俺がその事を言うと、 「その通り。只人間臭いっていう表現は・・・君達人間のちょっとした傲慢だね」 こういう答えが返ってきた。だが、少し気になるところがあった。それを尋ねる。 「傲慢?」 「そうだよ。君達がいう人間臭い行動っていうのは・・・まともな五感と君達と同程度の知恵さえあれば、どんな生命体であっても取る事が可能なんだよ」 本当にそうだろうか? 考える。が、目の前にいるヌリシンハを見たとき、考える迄もないことに気付く。成程、確かに。彼は如何にも『人間臭い』仕種をする。 「ははははは」 俺が笑ったその先では彼もまた笑っていた。そして静かに夜は更けていく・・・ |
小説広場へ戻る TOP BACK NEXT |