by くらげ
「神々は自分達の子供を雌雄一組にして、各々の創りだした世界に住まわせた。まぁ、簡単に言ってみれば箱庭だね。そして、そこに住む子供達に様々な『伽』を嵌めた。」 「伽って・・・随分と酷い話だな。自分達の子供だろ?」 つい責めるような口調になってしまったが、勘弁してほしい。 「酷い・・・か。そうだね。確かにその通りだ。だけど神はそんなこと思ってないよ」 「・・・え?」 今の言葉が聞き違いではなく、且つそれが本当だとすれば、神は相当に薄情だという事になる。俺の顔がその事を物語っていたのか、淋しそうな顔で彼は言ってくる。 「彼ら『神』と呼ばれる者達は、自分達以外の存在を実験生物としか思っていない」 「・・・」 「だから平気で君の言う酷い事が出来るし、それが当然だと思っている。彼らにとって子供達に伽を嵌めて様々な環境の世界に放り出すことは、単なる実験てあり・・・ゲームなんだよ。どの姿をしたものが本当に極れているのかを調べるための」 今の俺の頃を鏡で見たならば、さぞ酷い形相をしていた享だろう。怒鳴りつけたい衝動に駆られつつも、我慢して気になる事を尋ねる。 「・・・さっきからあんたが言ってる伽って・・・一体何だ?」 「能力の制限だよ」 「能力の制限?」 鸚鵡返しに尋ねる。 「平たく言えば・・・そうだね、思考龍力の欠落とか声帯の制限もしくは剥脱・・・代表的なものとしてはこんなものかな」 「・・・は?」 間抜けな問い返しになってしまった。いいじゃないか、別に。どうせ俺は威張れるほど頭は良くないんだから。 「考える力を奪ったり、単純な声しか出せなかったり、もしくは声自体出せなかったり・・・そういう事だよ」 「ちょ、ちょっと待てよ。声の件はお前さんの名前の時に解ったけど・・・考える力を奪ったって・・・人間はちゃんと考えることが出来るぞ?」 正しくその通り。今将に俺はいろんな事を考えてる。脳味噌フルに使って。 「それは君達人間の性質のせいだよ。思考能力は君達に与えられたボーナススキルだ」 「人間の性質? ボーナススキル?」 何かちょっと複雑な話になりそうだ。心の準備をしておこう。 「万能故に一芸に秀でるもののない生物。そして取り柄のはずの万能すらも中途半端。それが他の姿を取る神々の、共通する人間の性質に対する意見だよ」 遥か上空の彼方、二つの月が冷たく、不気味に笑っているような・・・そんな気がした。 |
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