by くらげ
「中途半端・・・か。確かにそうかもな」 ショックを受ける俺に、神魚は更に追い討ちをかけるが如く口を開く。 「かも、じゃないよ。実際君達はあまりにも中途半端だ。今は知恵があるからいいようなものの、知恵無き万能なんて無力以外の何物でもない」 「あ、それって昔俺も考えたことがある」 そう。何故だかはさっぱり解らないが、俺は昔そんな本当か嘘かも解らない事を考えた事があった。幾ら考えたところで結局答えなんてでなかったけど。ヌリシンハを見ると、彼は如何にもおやまあ、といった感じに眼をきょとんと見開き、口を半開きにしていた。 「そんなに意外かなあ? 俺がそういうの考えるの」 多少拗ねた俺を見て、彼は弁解の言葉を発する。 「いやいや。君らしいよ。そういう・・・その・・・」 言い淀んでる。が、悲しいかな言いたい事ははっきりと解っていた。 「変な事を考えるのは・・・って言いたいんだろ?」 「・・・御尤も」 どうも端から弁解なんぞするつもりはなかったらしい。相変わらずいい性格をしている。流石は「神の御魚さん」だ。充分な皮肉をこめてそれを言うと、思い切り快活に笑われてしまった。どうも皮肉は通用しないらしい・・・予想はしてたけど。やれやれ。 「それはそうと・・・」 充分に笑ったところで神魚は話を切り出してきた。 「考えてみてどう思ったの? 知恵と万能の繋がりというか関係を」 何時もと変わらぬストレートな問い掛け。どう答えたものかと暫く考える。 「ん〜〜〜。万能っていうのはさ、知恵があるからなれるんだと思う。知恵があるから・・・なんて言うか、その万能っていうのを活かせるんだと思う」 「・・・」 俺の下手な説明というか意見を、神魚は静かに、じっくりと聞いてくれていた。 「ということはつまりさ・・・知恵があるっていうのは万能であるための必要最低条件なんだと・・・思う。あまり巧く言えないけど」 何か見当違いな事を言ってるんじゃないか、と恐る恐る彼を見る。 「・・・いやいや。言いたい事は解ったよ。感心感心」 よかった。口調から察するに強ち的外れな事を言ったわけでもなさそうだ。 「この事に関しては特に言う事はなさそうだ。君の言った通りだよ。万能たるために必要最低限なもの・・・それが知恵だ。そしてこの知恵こそが、食物連鎖という名のヒエラルキーに於いて君達人間をその頂点に立たせたものだ」 この時初めて俺は知恵の偉大さを知った。確かにそうかもしれない。知恵無くして今の人類はありえなかっただろう。人間は考える葦なのだ。 |