by くらげ
「ふう・・・」 話が一応の区切りを見せたようだったので、俺は取り敢えず一息ついた。 「ははは。どうだい? 意外と大きな話になっただろう」 「ああ。まさか神様から人の成立にまで話が及ぶとは思わなかったよ」 言って、更に小声で眩く。 「大きくなりすぎだよ。全く・・・」 「ぼやかない、ぼやかない。まだまだ話す事はあるんだから」 彼は、まだ全然話し足りないよ、といった風な感じだ。 「勘弁してくれよぉ。俺の頭はそこまで高性能じゃないんだ。もう少し整理に時間が掛かる」 そう言うと彼は、そうかい、と言ってゆっくりと辺りを見渡し始めた。それに釣られるように、俺も辺りを見渡す。湖は相変わらず美しく、優しい光が世界を覆っていた。その優しい光に思わず心が和む。全くの見知らぬ大地(水の上だけど)にいるのにこうも落ち着いていられるのは、多分この光の御蔭なのだろう。何となくそう直感した。 「はぁ・・・」 落ち着いたら自然と溜め息が出た。 「・・・君もよく溜め息を吐くね。それで何回目だい?」 「五月蝿いなぁ。大きなお世話だよ。目が覚めたらいきなり訳の分からない所にいて、おまけにあんな話を聞いた日には溜め息の一つや二つ出るさ。あ、ついでに魚が喋ったりしてもね・・・」 「う〜ん・・・確かに。君にとっては全てが未知との遭遇だからね」 正にその通りだった。実にいい表現だ。 「・・・全く。話を聞いてからというもの、俺の常識は崩れっぱなしだよ」 「いいじゃない。別に。間違った常識なんてそんな御大層に抱え込むものじゃないよ。とっとと壊してしまったほうがいい」 確かに。そう言われると言い返す言葉もない。まぁ、それに関しては同意見だから言い返すつもりもないけど。 「さて・・・と。だいぶ落ち着いたし、そろそろ話に戻ろうか、御魚さん?」 「御魚さんはやめてよ。御魚さんは」 実に嫌そうに抗議をしてくる。が、残念な事に聞く耳持たぬ。 「いいじゃないの、別に」 「ちぇっ・・・解ったよ。それで、何を聞きたいの?」 俺は暫し考えるふりをする。そんな事をしなくても次に聞く事はもう既に決まっていた。 「お前はさっきの話で神が創った世界の事を箱庭と言った。その事を聞きたい」 そう。それが次に俺の聞きたい事だった・・・ |
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