by くらげ
「・・・」 神の創った世界に対する質問の最初の答えは、沈黙という形をとって俺の元へと返ってきた。彼は暫く何かを考えていたかと思うと、次の瞬間には何時もの彼へと戻り、淀みない口調で語り始めた。 「世界を箱庭と例えたのは、まぁ、別に何か意味があったわけじゃない。というより、正にそのものなんだ」 「そのもの?」 芸のない、率直な質問をする。 「うん。君達人間も造るだろう? 箱の中に粘土だとかで造った模型等を使って一つの世界を創りだす、っていうアレの事だよ」 「ああ、分かった。そういう事か・・・」 俺は小さくそう呟くと、自分の出した答えを彼にぶつけてみた。 「要するにこういう事だろ? 俺達は箱だけど神様達はそれが惑星なわけだ」 「そう。彼らは、前にも言った通り自分の子供達を住まわせるための世界が必要だったんだ。だが、そんなものはこのくらげの中には無かった。そこで彼らは考えた。無いのなら造ればいいじゃないか、と。そこでさっそく彼らは作業に取り掛かることにした。幸いな事に大本となる土台はあった」 「土台? そんなものがあったんだ?」 くらげの中にそんなものがあったとは・・・。 「細胞だよ」 「・・・え?」 思わず聞き返す。 「細胞。くらげの体内を徘徊・・・いや、循環している細胞を使ったんだ」 「そ、それじゃ、俺が住んでた地球も・・・」 動揺を隠そうともせずに聞く。御蔭で吃った。 「当然、その一ったよ」 「あぁ・・・これでまた俺のなかの常識が一つ崩れていく・・・」 思い切り芝居がかった口調と仕種で嘆く。ヌリの奴が隣で笑ってる。いいもん。別に。 「それで続きなんだけど・・・話していい?」 俺が何時迄もあぁとかうぅとか呻いていたせいか、話していいかどうか迷っているのだろう。こんな事を聞いてきた。別にいいのに。九割がた芝居だから。けど、さよなら常識。あはははは〜・・・いかんいかん、少し壊れてしまった。 「ふぅ」 俺は一つ溜め息を吐き、気を引き締めると、ヌリに続きを話すよう促した。 「さぁ、続けて・・・」 |
小説広場へ戻る TOP BACK NEXT |