by くらげ
「さっきの言い方じゃ、最初から地球みたいに一つの細胞に・・・いや今度から細胞じゃなくて星って言う事にしよう。そっちの方が君も解りやすいだろう?」 「ああ。そっちの方がいい」 相槌を打つ。さっきからそれは気になっていたのだ。細胞じゃどうも違うものみたいだったのだ。 「それでね、最初から地球みたいに一つの星に全種類の生物がいたわけじゃないんだ。というよりも、そんな星は地球一つしかないんだ。」 「え? っていうと・・・どういうこと?」 うむ。何だかよく解らない。 「うん。そもそも普通は一つの星には一つの種族だったんだ。例えば此処。まあ厳密に言えば此処は一種族じゃないけど。妖精達とかがいるから。けど、住民の殆どは魚だろう? とまあ、そういう具合に普通はこうなんだ。何処の星でも」 「じゃあ、地球は例外なのか?」 取り敢えず聞いてみる。普通じゃないんだから例外なのは聞く迄もないんだけど。 「いいかい。前に僕が言ったことを思い出して。僕は言ったよね。どの姿をしたものが本当に優れているのか、神々は実験をしているって」 「うん。言ったね」 頷く。 「彼らはね、自分の子供達を放し飼いにしてその生活を眺めるだけでは、物足りなくなってしまったんだ。だから他の神々に誘って廻ったんだ。どっちの方が、生きていくうえでより優れているか試してみないか・・・ってね」 「・・・」 「それから先は想像に難くはないだろう? 色々な姿をした者達が挙って実験を始めたんだ。いや、最初の方こそ実験だったけど・・・今じゃ単なるゲームだよ。二つの種族ではどうか。三ってはどうか。四つでは・・・こういう感じだ。そして最終的に造られたのが、箱庭bU8413392578692416・・・地球だ」 「・・・」 成程ね。シムシティーが別のゲームに変わちゃった訳だ。 「そして地球を創った後、僕はそういう事が厭になって・・・逃げ出したんだ」 ヌリの奴が呟く。本当に、本当に消え入りそうな声で。 「・・・別にいいよ。もう隠さなくても。もう・・・気付いてるから。お前が『神』だってこと」 ヌリは暫くの間俺をじっと見つめていたが、やがて、そう、と呟くと心から安堵したような、そんな微笑みを浮かべた。それは人が神に懺悔した後の表情にとてもよく似ていた・・・俺はそう感じた・・・ |
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