by くらげ
「何時頃気付いたの?」 五分位だったのか、それとももっと永かったのか。そんな瞬味だが、それなりに永い沈黙を破って最初に口を開いたのはヌリの方だった。 「ん〜? ちょっと前だよ。最初はさ、神様の直属の部下みたいなものだと思ってたんだ。今朝・・・いや今晩だった、に逢った時お前『神に聞いてるから何でも知ってる』みたいなことを言っただろ?」 「うん」 頷く。随分と素直だな。 「けどさ、話聞いてるうちにお前が神の事を『彼ら』って同列に扱ったような言い方をしてるのに気付いてな。普通『あの方々』とかそんな言い方になるんじゃないかな。特に言葉遣いが丁寧なお前のことだし」 「だけどそうはなってなかった・・・かい?」 察しのいいことで。ま、よくなくても解るか。 「ああ。けど、やっぱり決定的だったのは・・・お前の呟きだよ。同類だとか、厭になって逃げ出したとか、そんな事言われたら大概の奴は気付くだろう?」 ヌリは暫く黙っていたが、やがて笑いだした。 「あはははは。確かにそうかもね」 「そうだよ。それに幾ら聞いたとしたって知りすぎてる。けど・・・どうして逃げたりしたんだ? ずっと他の奴らとゲームを続けることだって出来たろうに」 暫し沈黙。そして語り。 「確かに出来たよ。だけど・・・だけどね、気付いたんだ。僕の中にある母性、いや男だから父性か、それに。そしたら・・・出来なくなった。自分の子供をゲームの駒に使うなんてね。君なら解るんじゃないかな? この気持ちが」 「まあ・・・ね」 一応、それかどうかは解らないけど解ってるつもりだ。つ・も・り。あはは。 「だから後は何時迄たってもその事に気付かない他の神達を見限って、その事に気付いていた一部の神を引き連れて逃げ出したんだ。いや、逃げたというよりは単なる離別か。そして、それから暫くしてこの世界を創った」 「ふ〜ん」 「此処には地球にあるような食物連鎖はない。子供達は僕と同じように物を食べる必要がないから。その御蔭で飢えに関する争いはない。此処にいる全ての種族は平和に共存している。まあ、時々諍いは起きるけど、それは仕様が無い。其々に人格があるんだから、衝突が起きる時だってある。そんな時の為に僕がいるんだしね」 嬉しそうに話すヌリを見てるとこっちも何となく嬉しくなってくる。自然と言葉が出た。 「そっか。いいところじゃないか。此処」 |
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