by くらげ
二人で話を始めてどれ程の時が過ぎたのであろうか。解らない。だがそんな事はどうだっていい。そろそろこの質問をしなければならない。 「ヌリ・・・最後の質問だ。どうやったら還れるんだ? 地球に」 「・・・そろそろ聞かれるんじゃないかと思ってたよ」 そう言うと奴は少し淋しそうな顔をした。まあ、仕方がない。折角仲良くなってきたんだから、別れるのは辛い。けどこのままいつまでも此処にいるわけにもいかない。俺が奴にその事を伝えると、 「うん。解ってる。けど・・・」 と、何かを言いたそうである。何だろう。何をそんなに躊躇っているのだろうか。 「理一朗、君に言わなくちゃいけない事がある。」 ヌリは随分躊躇った末にそう言った。まさか還れないとでも言うのであろうか。 「理一朗、君はノストラダムスの予言を信じてるかい?」 何を言いだすのかと思えば、そんな事か。 「いや、信じてないよ。彼の予言書は只の旅行誌だよ。彼は予言なんてしてはいない」 それが俺の意見であった。が、ヌリは言ってくる。 「そうだね。確かにその通りだ。だけどね、今から言うのだけは本当に起こるんだよ。1999年の七月に・・・地球は減びる」 頭が真っ白になっていく。 「な・・・どういうことだ!? 説明しろ!!」 「地球はね・・・失敗作だったんだ。神々は言ってたよ。人に知恵を与えたのは間違いだったって。御蔭で折角のゲームが台無しだってね」 「だ、だから!! どういうことだよ!?」 ――――――やはり頭のなかは真っ白だ。 「前にも言った通り、地球を創ったのはゲームだったんだ。実験を兼ねた。当初はどの生物にも知恵は与えないはずだった。本能のみによる究極のサバイバルにおいて、どの姿をした生物が尤も優れているか。それがテーマだった。だが人の姿を取る神が言ってね。本能のみだとこの姿は不利だ、とね。前に万能型と知恵について言ったよね。人の形というのは本能のみだとその最大の利点である万能を活かせないんだ。そうなるとどうなるか。獣の形をしたものに呆気無く殺され、食われる。それが人の神には解っていた。だから言ったんだ。少しばかりの知恵をボーナスとして与えてほしいと。結局この意見は通り、人には少しばかりの知恵が与えられた。だが、それが後に悲劇・・・1999年の地球崩壊を招くことになる。人は知恵を持ったことによってひたすら成長を続けていった。そして辿り着いた先は食物連鎖の頂点だった。神々は言ったよ。人に知恵を与えたのは間違いだったと。御蔭で折角のゲームが台無しだと」 話はまだ続きそうだった・・・ |
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