虹の如くの巻(その10 ちゃぼ走る) 
いよいよ、ちゃぼが走る。
脱鳥の如く・・・

 レースは、ちゃくちゃと進行して行く。
時間的にも遅れはなく、私はただじっと椅子に座るのみ。

ちょっとトイレへ・・・
トイレに行くには、医務室の前を通らねばならない。
足を引き摺りながら、本部の前を通り抜ける。

が、一人私を見つめる人がいた。
そう、先生です。

先生「どう?足の調子は?」
大佐「あぁ〜先生。レースには出れませんでしたよ。間に合いませんでした。」
先生「そうかぁ〜残念だったな〜よし、ちょっと見てやろう。ここに座りなさい。」
大佐「あっ はい。」

そう言うと、医務室に通される。
出迎えてくれたのは、先生家族だった・・・・
うぅ 恥ずかしい・・・・今更ではないが、私のも恥じらいと言うものがあったのだと実感する。

先生「どれどれ・・・」
大佐「いててて・・・どわっ、ぐっ、痛い!!ぐっ」(>_<)
マッサージしてくれるのは、有り難いがこれがめちゃめちゃ痛いのだ!!

一人で悶える私を観察する家族の構図がここに完成する。

先生「よし、あとは、コールドスプレーで終わりだ。」
大佐「あ・ありがとうございます・・・・」(ーー;)
先生「まぁ、後は安静にしておきなさい。」
大佐「はい。少し楽になりました。」

おばかな私をマッサージしてくれるとは、何とも有り難い事だ。
ありがとう!!先生!!

・・・・・・・

そうこうしているうちに、ちゃぼの出走の時間が迫ってくる。
今回は、このクラスに、同じチームから数人のメンバーが出場する。
実に楽しみなレースである。

ちゃぼ「じゃぁ、行ってきますね。」
大佐「よし、わしの分まで走ってこい。帰ってきたら、飯を作るぞ!!
ちゃぼ「それって、応援してます?」
大佐「何を言っておるのだ。今日のわしの役目は、昼飯とちゃぼの応援さっ」
ちゃぼ「何か引っかかりますけど、取り敢えず行ってきます。」

数分後、いよいよレースの火蓋は切って落とされた。

一斉にスタートを切った集団の中に、前に行こうとするちゃぼの姿があるのだった。

大佐「ちゃぼ〜 いけぇ〜 走れ〜」


大佐の苦悩の一日は、まだまだ、終わらない・・・・

                                                 ・・・続く