恋愛日記


<7>

 「あはは、勇って思ってたより、カッコイイじゃない。好きになりそうだよ。らら」

 ぼくは、何度も文章を読み直した。
 カッコイイ。お世辞でも嬉しいものだ。
 そして、好きになりそうって。

 このメールは、とても嬉しかった。
 もしかすると、メールが終わってしまうかと思ってたからだ。
 自分の容姿には、あまり自信はない。
 でも、それでも、そう言ってくれる言葉が嬉しかった。

 メールの下には、
 「私の写真を送るね。飲み会の時の写真なので、ちょっと酔っ払いです。てへ」
 と書いていた。
 早速、添付ファイルを開いてみる。

 そこには、無邪気に笑ってる、ららの笑顔があった。
 確かに、周りでは、飲み会が進んでいるんだろうなと言う雰囲気があった。
 でも、少し頬を赤らめている、ららの笑顔に、ぼくは何となく穏やかな気持ちになっていた。

 「ほんと酔っ払いだね。 でも、凄くかわいいよ。好きになっちゃった。 勇」

 そして、二人は、更に距離を縮めていった。



<8>

 次の日、いつものように、ららからメールが送られてきた。
 それは、昨日のぼくが送ったメールに対しての言葉だった。

 「かわいいだなんて言われた事ないよ。うふ。 でも、うれしい。ありがとね。 」

 照れているのが、文章から伝わってくる感じがする。
 ぼくも、何故か照れてしまうのは何故なんだろう。

 「勇って、誰かに似てるよね。誰だろう。ん〜〜  国分くんかなぁ
  どうしようかなぁ じゃぁ、私も好きになっちゃおうかなー らら」

 正直、びっくりした。
 確かに、顔が似てるねって言われる事はある。
 でも、それほど顔に自信があるわけでもない。いや、むしろ、自信のカケラも無いのだ。
 そんなぼくを、好きに??

 でも、どうしてもそれがウソのようには見えない。
 むしろ、ウソではなく、本当にそうであって欲しいとさえ思っている。

 いつからだろう。こんなにららを意識し始めてしまったのは。
 はじめの内は、単なる暇つぶしだったのに、今では、凄く大切な人に変わってるような・・・

 そんな感情を意識しながら、ぼくは返信メールを書いたのだ。



<9>

 「あはは、国分くんかぁー あんまり言われた事ないよ。
  でも、好きになってくれるんだぁ〜  こんなに嬉しい事はないよ。 勇」

 別にウソでもいい。そう言ってもらえる事がとても嬉しかったのだ。
 こんなに距離が離れていて、メールを見て、書いて、そんな事がとても楽しく思えた。
 そしてなにより、ぼくは、ららを好きになってしまっていた。


 二人の仲は、どんどんと縮まっている。
 毎日のようにメールをしてても、話題が尽きる事はない。

 でも、人間と言う生き物は、と言うものを持ち合わせている。
 欲というのは止めどを知らない。
 顔を見たら、今度は声が聞きたくなったりするものだ。
 それはもう、お互いにかけがえの無いものに変ろうとしていた。

 メールでしか話しをした事が無いのに・・・

 そして、

 「090−****−**** これ、俺の携帯の番号なんだけど。
  時間があったら、電話して。  勇」


そして、彼女からはのメールには、こう書いてあった。

 「わかった。今度、時間があったらね。  らら」


 数日後の午後、ぼくの携帯が、恋のベルを鳴らした。
 見知らぬ携帯番号から電話がかかったのだった・・・・