恋愛日記


<16>

 こんな時に限って、仕事は山のようにぼくを責め立てた。
 電車の出発時間まで、あと2時間・・・

 焦りが焦りを呼び、遅々として仕事は捗らない。

 出発を、昼としていたのにも関わらず、終わらない仕事と 自分に嫌気を指していた。

 そして・・・・

 出発の予定していた時刻は、無情にも過ぎ去っていった。

 とにかく、仕事を終わらせなければ。

 予定時間を3時間ほど過ぎた頃、ようやく、仕事が終わりを迎える。

 寝台列車なら、まだ、間に合うかも・・・

 少しでも、前に進みたい。そんな思いが強かったのだろう。

 そして、無理矢理、電車に乗り込んだのだった。
 これなら、明日の朝には、東京へ着く。

 勇「今、電車に乗ったから・・・ 」
 らら「仕事、大丈夫だったの?」

 勇「うん。何とかね。」
 らら「無理せずに、気をつけてきてね。」
 勇「うん。また、明日、電話入れるね。」


<17>

 アナウンス「東京ぉ〜 東京ぉ〜」

 アナウンスが電車の中にこだまする。
 いつのまにか、眠ってしまっていたようだ。

 取りあえず、電車を降り、ホテルのある所を目指す。

 電車を乗り継ぎ、ホテルに着く頃には、9時を過ぎていた。
 とにかく、今の荷物では重すぎる。

 1泊分損をしたが、ようやく東京に着いたのだ。
 荷物を置くと、さっそく、ららに電話をしてみる。

 ぷるるるるる・・・・

 らら「はい、はぁーい。おはよぅー」
 勇 「おはよー ようやく、ホテルに着いたよ。疲れた〜」
 らら「お疲れさまぁ〜」

 勇 「ごめんね。遅くなっちゃった。」
 らら「ううん。いいよ。仕事だもん、仕方ないよ。」
 勇 「うん。」
 らら「どうしようか。どこで待ち合わせる?」

 勇 「やっぱ、今からだと、ディズニーは混んでるだろうね。」
 らら「そうだねー 連休だしね。」
 勇 「じゃぁ、お台場に行こうか!」
 らら「うん。その方がいいかも。じゃぁ、勇に一番近い駅に迎えに行くよ」
 勇 「わかった。」
 らら「んーとねぇ 1時間後でもいい?」
 勇 「OK! じゃぁ、1時間後にね。」
 らら「はぁーい」

 ららの声を聞いて、ぼくの疲れは一度に吹き飛んでしまったようだった。
 ぼくは、本当に東京と言う街にやってきたんだ・・・


<18>

 1時間後。ぼくは駅の出口に立っていた。
 土曜日とあって、いきかう人たちも、どこかへ遊びに行く感じの人や
 カップルたちの姿が目に付く。

 約束の時間を5分ほど過ぎた時、携帯が音を奏でる。

 勇「もしもしー」
 らら「ごめーん。あと10分くらいかかっちゃうよ。もうちょっと待っててね。」
 勇「うん。いいよ。駅の西側の出口にいるからね。」
 らら「わかったぁ」

 それから、また、ぼくは駅の前でぼんやりと辺りを見ていた。
 ららも、きっとこんな風に生活しているんだろうな。
 いろいろと個性のある人たちが行き交う中、ただぼんやりと眺めていた。

 そして、再び、携帯が音を奏でる。

 らら「もしもしー 今ね。着いたよ。」
 勇「ほんとぉ〜 どこかな。今ね、ちょうど出口の所にいるよ。」
 らら「出口が見えたよ。おーぃ」
 勇「あっ ららみっけ!!」

 ぼくは、遠くに見えてきたららに、ドキドキしていた。