闇夜のオットセイ・・・の巻き

今回は、実際に町で見掛けた事件についてレポートしよう。


      も10時を過ぎ、会社からの帰宅途中の出来事である。
     私は、その日はチャリンコでのご出勤だったので、残業を終え、ぼぉーっとしながらも、家路に急いでいた。

     夜、10時にもなると、車の往来も少なくなり、本当に国道?と思わせるレベルにまでなる。
     その時、2台の乗用車を、猛スピードで追い抜くトラック(多分、2t車・・・)がいた。
     乗用車のスピードは、それほど遅くはなかったと思う。(法廷速度上は)
     しかし、トラックも思い切っての、2台抜き。
     根性決めての追い越しか親が危篤の連絡を受けたかのような、そんな雰囲気を秘めていた。

     ここで、うまく追い越しが出来ていれば、物事は起こらなかった。
     だが、事件は起こる。

     対向車である。しかも、大型トラック!
     当然、クラクションを鳴らされ、追い越ししようとしていたトラックは、大慌てだった事だろう。
     顔を見る事が出来たなら、「ムンクの叫び」にも匹敵する顔になっていたはずだ。
     慌てたトラックは、乗用車と乗用車との間に車を割り込もうとする。

     堪らないのは、後ろの乗用車だ。
     わけも分からず、抜かれた挙げ句に、急な幅寄せ。
     120%急ブレーキであった。
     まぁ、かろうじて事故だけは免れたものの、後方乗用車の悲劇は、終わってなかった。

     急ブレーキを踏み、止まっていたのは、何も乗用車だけではなかった。
     トラックの運ちゃんが、車から飛び降りると、一目散に走ってくる。
     (滑稽な走り方であったが・・・それは、置いておこう)

     乗用車に駆け寄ると、いきなりの罵声。
     トラック運ちゃん
     「お前、わしが追い抜きしとんのに、
                何でブレーキせんのんじゃ〜!!!おう、おう!」

     先制パンチである。何ともむちゃな言いがかりだ・・・・
     攻撃は尚も続く。
     「追い抜きしとんのに、何でスピード上げるんじゃ〜おう!!
    もうちょっとで、事故しとったやんけ〜!!おうおうおうおうおう!!!」

     「危ないのはあんたや!」と一人突っ込みを入れながら、ある事に気付く。
     彼は、どうも、興奮すると、「おう」を連発するらしい。
     遠山の金さん以上である。
     あれはもう、オットセイレベルに達しているだろう。

     乗用車のおっちゃんも、何とか言い返す。
     「スピードなんか上げてない!」
     「上げてないぃ〜、上げとったやんけ〜 おう〜」

     冷静に考えてみれば、スピードを上げた上げてないの次元ではないのだ。
     何故って、後方の乗用車が勝手にスピードを上げれるわけがないのだ。
     だって、前にもう一台乗用車がいるのだから・・・・
     しかも、誰が見ても、追い越しの方が、歩が悪い。
     完全に道路交通法違反である。
     (こういう場合、追い越し側、車線変更している側の過失が問われる。はず・・・)

     怒っていいのは、後方の乗用車の方なのだ!!
     「何、むちゃな追い越ししとんじゃ〜」ってね。
     でも、先制パンチを打たれてしまっては・・・・・
     完全にペースを握られているのだ。もはや、負けである。

     全く持って、災難としか言いようがない。
     会社で残業をし、疲れた体を、妻子が待っている我が家へと帰っていたのだろう。
     それを、無理な追い越し、幅寄せ、急ブレーキの挙げ句に文句である。
     まるで、厄日だな。

     私は、反対車線で行われている光景を尻目に家路へと走るのであった。
     この後、彼らがどうなったかは、わからない。
     ただ、車の往来の少なくなった国道に、「おうおうおうおう!!」と
                               トラック運ちゃんの声がこだまするのであった。

     後日、聞いたところによると、5分後にはその車はなかったらしい。
     が、丸く納まったかどうかは、定かではない。

 教訓1:交通ルールは守りましょう。
 教訓2:勝利の秘訣は、先制パンチ。 


     おまけ:今回の光景を、幼稚園絵日記風に仕上げてみました。
                   絵日記へ 絵日記へGO!


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