光の目録(カタログ)

ここは大きなひばの林で
そのまっ黒のいちいちの枝から
あちこちの空のきれぎれが
いろいろにふるえたり呼吸したり
云はゞあらゆる年代の
光の目録を送ってくる
『春と修羅』第二集〔この森を通りぬければ〕の抜粋です。

「色と光の目録(カタログ)」は、『色いろいろ』のサブタイトルでもあります。賢治の詩や童話には、本当にすてきな色に関する言葉が多く見られます。特に、炎色反応やケミカルガーデン等の化学に関するものは、一般の人にとっては難解かもしれませんが、怪しさと同時に新鮮な響きとなっているのでしょう。

 賢治の”化学的な色や光”に着目してまとめられたものに、『光の目録』(力丸光雄、『文芸読本宮沢賢治』1977、河出書房新社)があります。 有機化学専門の力丸先生(岩手医大名誉教授)は、宮沢賢治研究の第一人者ですが、何と現在は鬼の研究もされていて、「北上市立鬼の館」の館長もなさっているとのこと。

 閑話休題。先に紹介した『文芸読本宮沢賢治』に、『氷窒素・銀河体験』(斉藤文一)が見うけられます。『色いろいろ』の幻の彩雲で紹介した「空の色と光の図鑑」の著者と同一人物なのです。

みなさん幅広く活躍なさっているようでビックリしました。

(2004/10/31、TAKA)

文学の色
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