第十回放哉賞
第10回放哉賞の入選句が決定しました。すでに入選者には書面でもってお知らせしておりますが、改めて当ページでも発表します。  平成20年3月
東北・北海道 関東 北陸・中部 関西 中国 四国 九州・沖縄 合 計
13名 58名 28名 21名 21名 20名 23名 184名
21句 123句 55句 41句 49句 32句 41句 362句
放哉大賞 福岡市 伊藤夢山様
闇へどうんと島が目の前
作品評  和久田登生(自由律俳誌「層雲」副代表)
 いつのまにか船が島に着きました。夜空に「どうん」と島が迫って見えます。敢えて「どうん」と書いて印象を重厚にしています。蛇足ながら「うん」は仏語「阿吽」の「吽」、実に深い音声です。この句「闇へどうんと島が」て切って「目の前」と味わうのが良いでしょう。
入賞作品
雨だれ正しく落ちるこころの底 浜松市 那須田康之
SLが紅葉散らした風の結ぴ目 浜松市 埋田貞子
野分来て山河を洗濯してゐる 横浜市 谷口一好
出せない答え向日葵と向きあっている 小豆島 蓮池恵子
夏のまま燃えている庭のこしょう 福岡県 重富架光
泣き疲れて夕暮のまんなか 八王子市 藤井雪兎
何も無いから虹描いてみる 豊中市 宇井 久
ポインセチアの赤に貼りついた嘘をはがす 西宮市 宮島周水
モノクロームの街は赤い日傘が好き 和歌山市 川口正浩
肩車して児の眼に見せる海の冬虹 東京都 久松洋一
入選作品
父に叱られたような夕焼け 高松市 涼野海音
恋とはそんなにいいものじゃない苺摘む 入間市 大野美波
泣きっ面をひまわりが見ている 横浜市 森川幸雄
冬陽にこにこ菰こぼれる牡丹 鳥取県 坪倉優美子
ぷり向く風に別れのことぱ抱き戻る  防府市 安田阿佐子
月明り捜してください私の素顔  浜松市 大軒妙子
夕日のいろに一つまづいて風の放浪 山口市 清水八重子
柚子ごろごろ湯に浮かべて消したい不安 横浜市 池田常男
ガードレールをはみ出して紫陽花さいた 八王子市 桜井 光
雲を流した風をそのまま受けている 堺市 酒本郁也
過去九回の放哉大賞
第九回 語りはじめそうな石の横 防府市 富永鳩山
第八回 薄れ行く夕焼過去が立止まっている 浜松市 富田彌生
第七回 空いたままの指定席が春を乗せている 新潟市 黒崎渓水
第六回 無人駅の窓口は 風の音売ります 田川市 高木和子氏
第五回 波からころがる陽に足跡がはずむ  京都市 高田弄山氏
第四回 おのれ失うたものさらしている冬の残照 大分県 藤原よし久氏
第三回 人間を脱ぐと海がよく光る 岡山県 篠原和子氏
第二回 砂ばかりうねうねと海に落ちる空 鳥取県 坪倉優美子氏
第一回 鍵なくしている鍵の穴の冷たさ 神戸市 木村健治氏
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「放哉」南郷庵友の会
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