第十一回放哉賞
第11回放哉賞の入選句が決定しました。すでに入選者には書面でもってお知らせしておりますが、改めて当ページでも発表します。  平成21年3月
東北・北海道 関東 北陸・中部 関西 中国 四国 九州・沖縄 合 計
13名 47名 24名 31名 29名 16名 28名 188名
26句 109句 51句 61句 69句 28句 58句 402句
放哉大賞 岡山市 木下草風様
一本の向日葵と海を見ている
作品評  和久田登生(自由律俳誌「層雲」副代表)
 華麗な向日葵の花、それが一本であることに注目しました。ある小説に「偉人頭のようじゃないか」と向日葵の花に圧倒される描写があって、一本に咲かせる花をひとつだけにして大輪に仕立てることを知っていましたので、強い印象を受けました。そし作者は「海」を見ています。
「海」は限りなく普遍、また人智の及ぶところではないようです。幅のある、奥行きの深いくです。
入賞作品
風の音をきいて風になる日 福山市 藤井茂基
長いすべり台を降りて銀河の底 東京都 荒木 勉
口のみとなり鮟鱇笑い出す 横浜市 谷口一好
闇の中ほのかに落葉の心音か 浜松市 大軒妙子
蝶の思い逃そうとして封を切る 田川市 高木架京
ひとりの秋刀魚をうらがえす 福島県 田畑 剛
加齢と感性雪にシクラメン咲く 鳥取県 岸本寿山人
蕾から音符が漏れている 江別市 坪井政由
木の間からひらり落ちた去年の秋 長野市 市川一子
言葉を忘れ風の真ン中にいる 防府市 安田阿佐子
入選作品
雲の階段のぼれなかった生涯主婦 福岡県 重富佐代子
病む窓の日差しが縫う心の隙間 東京都 大久保さく子
濃い隻影に夏が塗りつぶされる 沼津市 勝俣文庫
火をおこして夜をはじめる 仙台市 平山礼子
はふはふと沁みた大根喧嘩(いさかい)忘れ 浜松市 伊藤重雄
淋しさの余白を歩く紙魚 豊中市 小山貴子
合掌屋根に雪降る灯の眼輝きだす 北九州市 中村重義
女のさくら点滅青い向かい風 山口市 清水八重子
妻へのありがとうの言葉うすい紙になる 浜松市 鈴木 憲
ようしゃない風が吹く庭の臘梅 浜松市 泉沢英子
過去十回の放哉大賞
第十回 闇へどうんと島が目の前 福岡市 伊藤夢山氏
第九回 語りはじめそうな石の横 防府市 富永鳩山氏
第八回 薄れ行く夕焼過去が立止まっている 浜松市 富田彌生氏
第七回 空いたままの指定席が春を乗せている 新潟市 黒崎渓水氏
第六回 無人駅の窓口は 風の音売ります 田川市 高木和子氏
第五回 波からころがる陽に足跡がはずむ  京都市 高田弄山氏
第四回 おのれ失うたものさらしている冬の残照 大分県 藤原よし久氏
第三回 人間を脱ぐと海がよく光る 岡山県 篠原和子氏
第二回 砂ばかりうねうねと海に落ちる空 鳥取県 坪倉優美子氏
第一回 鍵なくしている鍵の穴の冷たさ 神戸市 木村健治氏
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「放哉」南郷庵友の会
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