第十二回放哉賞
第12回放哉賞の入選句が決定しました。すでに入選者には書面でもってお知らせしておりますが、改めて当ページでも発表します。  平成22年3月
東北・北海道 関東 北陸・中部 関西 中国 四国 九州 合 計
24名 66名 41名 24名 27名 18名 28名 228名
49句 132句 82句 54句 60句 27句 49句 453句
放哉大賞 東京都 遠藤多満様
ボーっと言って船が空に向かう
作品評  和久田登生(自由律俳誌「層雲」代表)
牛の鳴くような船の低い汽笛、「ボーッと唸って」でなく「ボーッ言って」というから船の立場に立った船の沈潜とた思考です。船は空に向かいます。基底的な時間だけでなく三次元も含めた時空空間へと広がります。船は星の間を、星に声をかけながら海鳥のように飛翔するかも知れません。「ボーッと」と低いトーンから夢のなかへ誘う俳句です。
入賞作品
お持ち帰りですかと海の光キラキラ 山口市 久光良一
一瞬にして過去形に冬の葬 御殿場市 田名瀬新太郎
母のような夕日に目をそらす 春日井氏 中村善枝
呆れ果て見ている海がある 那珂市 桐原峰男
冬木立切り札はないではないか 香川県 清水星凛
絵の具がかわくまで生きていた蝶 京都市 高田弄山
月が明るく見ている私が見えなくなる 鳥取県 岸本寿山人
何もしてやれなかった正月用の花買った 横浜市 池田常男
鰯雲どこかでいつもすれ違う 浜松市 泉沢英子
海の夕日が埋めてゆく心の穴 東京都 大久保昇
入選作品
手のひらで掬う水のような恋 福山市 藤井茂基
光があれば影があって冬の日時計 小平市 本山麓草
失くした夢の欠けらは鈍色海の底 大分市 塩地キミヱ
戦争を見ていた銀杏の老木にも秋 大分市 荒金奈留
風が樹間を渡る春の音符だ 浜松市 ちばつゆこ
ちょっとしたはずみでこぼれた星の孤独 浜松市 井出賀代子
わがままに生きてまんまるい月である 横浜市 谷口一好
魚になって月の音符を奏でる 荒尾市 左藤智栄
朝寒の騙し絵にだまさるる角度 横浜市 上田貴美子
鋭角にくる終焉の鐘を聴く 山口氏 清水八重子
過去十回の放哉大賞
第十一回 一本の向日葵と海を見ている 岡山市 木下草風氏
第十回 闇へどうんと島が目の前 福岡市 伊藤夢山氏
第九回 語りはじめそうな石の横 防府市 富永鳩山氏
第八回 薄れ行く夕焼過去が立止まっている 浜松市 富田彌生氏
第七回 空いたままの指定席が春を乗せている 新潟市 黒崎渓水氏
第六回 無人駅の窓口は 風の音売ります 田川市 高木和子氏
第五回 波からころがる陽に足跡がはずむ  京都市 高田弄山氏
第四回 おのれ失うたものさらしている冬の残照 大分県 藤原よし久氏
第三回 人間を脱ぐと海がよく光る 岡山県 篠原和子氏
第二回 砂ばかりうねうねと海に落ちる空 鳥取県 坪倉優美子氏
第一回 鍵なくしている鍵の穴の冷たさ 神戸市 木村健治氏
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「放哉」南郷庵友の会
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