第十五回放哉賞
第1五回放哉賞の受賞作品が決定しました。すでに入選者には書面でもってお知らせしておりますが、改めて当ページでも発表します。  平成25年3月
東北・北海道 関東 北陸・中部 関西 中国 四国 九州 合 計
17名 57名 33名 29名 20名 18名 19名 194名
34句 121句 74句 55句 42句 40句 35句 402句
放哉大賞 北九州市  中村 みや子様
昭和一桁の頑固さ いっきに師走
選評  和久田登生(自由律俳誌「層雲」代表)
或る作家が「憐れむべき昭和一と桁生まれの人間・・・」と書いたが、当の「一桁生まれ」は「かたくな」「片意地」「偏屈」などと言われようとおおよそが「頑固さ」自認し誇りにさえしている。年ごとの「いっきに過ごした」師走の思い出が重なる。
入賞作品
電子音止んだ街に出て見る満月 秋田市 小林 万年青
終点に着く夕陽の美貌がある 小平市 本山 麓草
雑草の美しい色に座って居る 町田市 野村 信廣
もう少しばら色でいたいから冬の街へ 福岡県 重富 佐代子
誰が置いた言葉だろう 海の匂いがする 東京都 荒木 勉
赤ワイン傾けながら聞く大人の童話 浜松市 伊藤 千代子
庭をみている 胸にある段差 長野市 加藤 えみ子
秋の烟は旅色の匂いがする 安中市 荻原 遥山風
振り返らない朝の背中を見送る 防府市 田中 里美
息子が正月の客であれ食えこれ食え 横浜市 池田 常男
入選作品
はっきり秋になった雨音で明ける 山口県 久光 良一
心痛み雪の夜に聴いたサラサーテ 藤岡市 千島 宏明
大空をなぞってたどって迷いみち 香川県 森 克允
怖かった父の墓 丁寧に洗う 神戸市 澤井 誠
しあわせの夕日を買いにいく あま市 吉田 数江
どの山も秋の顔している 札幌市 小坂 みゆき
あの人も見たと思うわたしの夕暮れ 筑紫野市 古賀俊一郎
孤独ではない聞けば手に風が集まる 田川市 高木 架京
深い夜の底へもさわさわと風のララバイ 浜松市 宮本 卓郎
断り書きあれこれ目白がきている 浜松市 泉沢 英子

文学の森・月刊「俳句界」賞
文学の森「俳句界」では従来より放哉賞の大賞、入賞、入選句のうちより選考して文学の森・月刊「俳句界」賞を授与してきました。今回は次の句が授賞しました。
横浜市  坂部万千代 様
さよならへ振るだけのこの手だったか
作品評  大井恒行(文学の森「俳句界」顧問)
手は人体の一部で、さまざまな役割を担うことができる。また、言語記号としてもさまざまな意味に満ちている。それは手が付けられない? ほどに多い。しかし、今は、ただ「振るだけの手」しかない。しかも「さよならへ」、つまり、別れの挨拶にのみ・・・・。人件存在の哀しみ、愛しみを表現して過不足なく、「だけ」 「この  ”だったか」の措辞が効果的だ。
 
過去十四回の放哉大賞
 
第十四回 言葉の花束そろえる陽だまり 神奈川県 野谷真治氏
第十三回 風があるいて春を充電する 熊本県 佐藤智恵氏
第十二回 ボーっと言って船が空に向かう 東京都  遠藤多満氏
第十一回 一本の向日葵と海を見ている 岡山市 木下草風氏
第十回 闇へどうんと島が目の前 福岡市 伊藤夢山氏
第九回 語りはじめそうな石の横 防府市 富永鳩山氏
第八回 薄れ行く夕焼過去が立止まっている 浜松市 富田彌生氏
第七回 空いたままの指定席が春を乗せている 新潟市 黒崎渓水氏
第六回 無人駅の窓口は 風の音売ります 田川市 高木和子氏
第五回 波からころがる陽に足跡がはずむ  京都市 高田弄山氏
第四回 おのれ失うたものさらしている冬の残照 大分県 藤原よし久氏
第三回 人間を脱ぐと海がよく光る 岡山県 篠原和子氏
第二回 砂ばかりうねうねと海に落ちる空 鳥取県 坪倉優美子氏
第一回 鍵なくしている鍵の穴の冷たさ 神戸市 木村健治氏
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「放哉」南郷庵友の会
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