第7回放哉賞
第7回放哉賞の入選句が決定しました。すでに入選者には書面でもってお知らせしておりますが、改めて当ページでも発表します。放哉大賞には新潟市の黒崎渓水さまが受賞されます。  平成17年2月
東北・北海道 関東 北陸・中部 関西 中国 四国 九州・沖縄 合 計
14名 84名 19名 31名 18名 16名 21名 203名
22句 148句 36句 53句 34句 24句 39句 356句

放哉大賞 新潟市 黒崎渓水様
空いたままの指定席が春を乗せている
作品評  渡野辺朴愁(層雲代表)
特急列車が発車した。ふと見ると「指定席」に一つポツンと空席がある。客の無いその席だけがいつまでも「空いたままの」淋しい空間だ。そう思っていると、やがて列車は広々とした田園の広がる光景へ差し掛かった、その時、その空席にホッと「春」の陽光が射し込んできたのだ。
「その空席が春を乗せている」思わず作者の心情にそうした楽しい発想がひらめいたのだ。
入賞作品
空のかんざしとなって昼の月 舞鶴市 西躰一欽
陽炎のなか走ってくる風のひとりこけと 富士宮市 遠藤龍三郎
少年来る空の青さにずぶ濡れて 流山市 田中昭子
虹色のコスモスの花びら虹色の風となる 八幡山市 岩本義孝
高校生カップル風が軽く流れる不安 北九州市 中村みや子
声無き猫と夕暮れが膝の上 南アルプス市 金丸貴臣
ふるさと恋いうる年です神の夕映え 伊那市 ちばつゆこ
人差し指を早春の砂に這わせる無口な女 浜松市 伊藤千代子
耳朶を素通りする絵空事の約束 浜松市 埋田貞子
山が光る朝の素顔を掃く 福岡市 伊藤啓一郎
入選作品
昨日のことが無口にさせている 豊明市 中野弘雄
夢ひとつ持って嫁にいった短い便り 香川県 森 克允
秋をつづる 不安見せない蝶 福岡県 重富架光
蜘蛛の巣の一すじきらめく冬の午後 福岡県 泉 喜代子
夕焼けをそっと脱いでから家へただいま 那須塩原市 安河内終一
尾花触れる丘の風韻冬の蝶ゆく 鳥取県 岸本寿山人
白いちぎれ雲になりたい旅を夢見る 鳥取県 坪倉優美子
病のこと触れぬまま湖の風 浜松市 大軒妙子
くすの樹千年の風吹けば千の煌めき 立川市 安田十一
唐辛子よう利いている白菜うちの味 浜北市 木俣史郎
過去6回の放哉大賞
第六回 無人駅の窓口は 風の音売ります 田川市 高木和子氏
第五回 波からころがる陽に足跡がはずむ  京都市 高田弄山氏
第四回 おのれ失うたものさらしている冬の残照 大分県 藤原よし久氏
第三回 人間を脱ぐと海がよく光る 岡山県 篠原和子氏
第二回 砂ばかりうねうねと海に落ちる空 鳥取県 坪倉優美子氏
第一回 鍵なくしている鍵の穴の冷たさ 神戸市 木村健治氏
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「放哉」南郷庵友の会
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