第8回放哉賞
第8回放哉賞の入選句が決定しました。すでに入選者には書面でもってお知らせしておりますが、改めて当ページでも発表します。放哉大賞には浜松市の富田彌生さまが受賞されます。  平成18年2月
東北・北海道 関東 北陸・中部 関西 中国 四国 九州・沖縄 合 計
19名 58名 35名 26名 20名 16名 24名 198名
30句 93句 60句 42句 36句 24句 44句 329句

放哉大賞 浜松市 富田彌生様
薄れ行く夕焼過去が立止まっている
作品評  渡野辺朴愁(層雲代表)
今まで真紅に美しく輝いていた「夕焼」だが、いつか色褪せ「薄れていく」、その光景を眺めながら作者はフト、人と生まれやがて老令を迎える己の現在と、これまでの諸々の過ぎた歳月を一瞬に重ね合せたのであろう。「過去が立止まっている」に作者の深い感慨が込められている。
入賞作品
海鳴りを着て波打ち際の白昼夢 岡山市 小川佳泉
割った卵の耐えているかたちを崩す 山口県 久光良一
記憶の陽がころがる白いテーブルクロス 福岡県 重富佐代子
波紋消えてゆく誰にも言えないこと 豊明市 中野弘雄
鏡の中の光が顔を塗りつぶす 京都市 高田弄山
さらさら零(こぼ)れてゆく心風紋になる 龍崎市 南家歌也子
飼い馴らされた電車が軋む 日野市 平澤裕美
旅人でいる夕日ずぶずぶ海に入る 藤井寺市 小堀彰夫
月に止んだ雪が光って蒼い蔭をもつ 鳥取県 岸本寿山人
いのち消えるに音もなく雨しんしんと降る 立川市 安田十一
入選作品
蹴りたい石のない道を歩く 福山市 藤井茂基
空と海のあお分けて会いに行く 山口市 前田養黙
お日さまつかまえてシャツに吸わせておく 福岡市 黒崎渓水
けものみち織り込んである雪の絨毯 徳島市 立花 悟
着信アリ冬空の青まぶし 横浜市 今川裕美子
かたくりの花は木陰又会えました 鳥取県 坪倉優美子
耳をすます 押し花が立体です 山口市 清水八重子
そよ風に転送されてきた旅の切符 浜松市 泉沢英子
白薔薇散るとき硝煙の臭いする 羽生市 金子 功
焚火より火を取り出し旅の煙草吸う 東京都 大久保治吉
過去7回の放哉大賞
第七回 空いたままの指定席が春を乗せている 新潟市 黒崎渓水
第六回 無人駅の窓口は 風の音売ります 田川市 高木和子氏
第五回 波からころがる陽に足跡がはずむ  京都市 高田弄山氏
第四回 おのれ失うたものさらしている冬の残照 大分県 藤原よし久氏
第三回 人間を脱ぐと海がよく光る 岡山県 篠原和子氏
第二回 砂ばかりうねうねと海に落ちる空 鳥取県 坪倉優美子氏
第一回 鍵なくしている鍵の穴の冷たさ 神戸市 木村健治氏
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「放哉」南郷庵友の会
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