100号記念号 2011年8月に第1号を発行し、今号で第100号となりました!ご来館の皆さま、地域の皆さまのおかげでここまで続けることができました。本当にありがとうございます。
『大空―放哉だよりー』を発行したきっかけは、2011年8月20日、放哉入庵記念行事として茶の湯教室(チャレンジ教室)を開催したことでした。
広報誌以外に周知する方法はないかと考え、そこから現在では≪毎月5日、配布先/町内の小中学校・小豆島中央高等学校・各地区公民館・2町町立図書館・希望者≫に配布するようになりました。
掲載内容は"尾崎放哉"だけでなく、関連人物や俳句にまつわる出来事、記念行事などを取り上げています。例年、行事を開催している記念日は、命日(4月7日)、入庵日(8月20日)、生誕日(1月20日)です。
この他、お茶会(5、6、7、9、10、11、3月の第3日曜日)も行っています。どなたでも参加できる行事ばかりですので、ぜひ一度お越しください。また、土庄町尾崎放哉資料館≠ヨも足を運んでいただきたいと思っています。
町立図書館横に在る、蔵をイメージした白い建物です。資料の収集や保存、情報提供を目的として平成17年に建てられました。常時施錠していますので、お手数ですが入館の際は図書館職員にお声掛けください。 |
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放哉さんは、師匠であり友人である荻原井泉水をはじめ内島北朗、飯尾星城子、島丁哉ら友人知人たち、西光寺住職杉本玄々子や井上一二らの暖かな援助を受け、小豆島で最期を迎えることができました。
記念館も、放哉ファンや俳句・文学等に興味のある方、地域の皆さまのご協力により、来館者をお迎えしています。これからも放哉さんの魅力を幅広い年齢層の方々にお伝えするため、
より分かり易く楽しんで読める『大空』を目指していきます!紙面に載せて欲しいこと(知りたいことや分からないこと等なんでも!)がありましたら、お気軽にご連絡ください。
また、記念館・資料館にもぜひ遊びに来てください。お待ちしています! |
私の好きな放哉句
放哉が小豆島で詠んだ句の中から、記念館に携わっているスタッフが、それぞれ自分の好きな句を選びました。
咳をしても一人
放哉が小豆島で過ごした八ヶ月の間で作った俳句の中でも、多くの方が知っている有名な句だと思います。この句は、部屋で咳をして「大丈夫?」「風邪?」等と心配して声をかけてくれる人がおらず、咳が部屋の中で響いているような一人っきりの状態を想像します。
近い将来、主人に先立たれ、一人暮らしになった時に子どものいない私は誰も家を覗きにも来てくれず、まさにこの状態になるのかもしれないと思うと寂しい限りです。
様々な生き方がある中で、ご近所さんや親類などとのコミュニケーションは今後、より大事なのではと思います。
掛け取りもきてくれぬ大晦日も独り
一年の終り、新しい年を迎えようとする時、ひとりの寂しさが身に沁みる。けれど孤独の中にもユーモアがあって、大らかな気持ちを与えてくれるように感じる。(私なら耐えられない筈)
朝がきれいで鈴を振るお遍路さん
孤独の中にも清らかな心を持ち続けて句を詠まれていたのでしょうか。澄んだ朝にお遍路さんの鈴の音が聞こえてくるようです。小豆島には終焉の地として来られたのだと感じていました。こんなにもきれいな心になれるのでしょうか。
入れものが無い両手で受ける
尾崎放哉と言えばこの句であると思います。自由律句、放哉に触れるための最初の句であり、すでに多くの機会に多くの人たちから「なるほど」と思っていただいているのではないでしょうか。この私も放哉の生き様、南郷庵を知らなかった時に出会い、何とその情景が説明もなく心に思い浮かび、心に染み入ってきたことを思い出します。放哉とは心豊かな人であろうとも想像しました。受け取る物が多すぎて両手からこぼれ落ちるほどの物があること、そして、近所づきあいからいただいたもの・ことへの感謝・ありがたさが滲み出ています。人として有触れた日常生活から、人と人との関係性の大切さを感じるものであります。放哉を知る、自由律句を深めるための、そして、多くの句を知ろうとする第一歩の句であると思います。感謝。
咳をしても一人
私は、放哉さんのことを全く知りませんでした。小豆島に住み始め、記念館をお手伝いする様になり放哉さんを知りました。多数の句の中で好きになったのが「咳をしても一人」でしたの句は、亡くなった母のことを思い出させてくれました。
父を亡くし一人で生活していた母は、普段は何とも思わないけれど旅行から帰った時『旅行は楽しかった?』と、声を掛けてくれる人がいないのがとても寂しい、とよく言っていました。私もきっと一人になったらそうなるだろうと思いました。放哉さんは、どんな気持ちでこの句を作ったのだろうか。寂しさを感じながら、声を掛けてくれる人がいたらと思っていたのだろうか。まだ若い人には分からないと思いますが、私の年になると身につまされるこの句が好きです。
枯枝ほきほき折るによし
"暗い""さみしい"という印象が強い放哉さんの句の中で、これはそう感じませんでした。『ほきほき』という言葉が面白く、『枯枝』の枯れた感がシッカリ伝わってきます。
そして、楽しんで折っているように感じました。道端なのか山の中なのか、落ちていた枯枝をふと拾い、何気なく折ってみると、思っていたより簡単に折れ、『よし』と感じたのか。
小さな子どものようにキャッキャッと繰り返し、はしゃぐような楽しさではなく、スッキリ折れるその感覚をひとり味わっているように感じます。 |
今年も1年大変お世話になりました。ありがとうございました。
今年は第3回目となる≪瀬戸内国際芸術祭2019≫が開催され小豆島へは約18万人が訪れ、総来場者数は約117万人だったそうです!これをきっかけに、記念館へも例年より多くの方々にご来館いただき、また、放哉や自由律俳句を知ってもらえる良いきっかけとなりました。
一度きりでなく、また来たいと思われるような記念館にしていきたいと思います。来年もどうぞよろしくお願いいたします。よいお年をお迎えください。
年末年始の休館日
小豆島尾崎放哉記念館 12月28日(土)〜1月4日(土)
土庄町尾崎放哉資料館 12月29日(日)〜1月3日(金 |