第122号 2021年10月5日発行
南 郷 庵 に 入 庵 す る ま で
南 郷 庵 に 入 庵 す る ま で A
その様子を玄々子は「放哉さんと私」に次のように書いています。
 「・・・彼が島に来ると云ふ井先生からの便りをもたらして井上一二さんが私を訪ねて下すったのは 大正14年の7月頃の暑い日であった様に覚えてゐる。井先生のお便りの始終を聴いて私は一二さん に云ふたものだ、サア、急に庵をと云はれても 庵にはそれぞれ留守番がゐて心當りもないし特に放哉 さんが自活してゆける庵と云ふと数へる程しかないのであります。困った事ですね・・・」
その後、放哉が酒で失敗した事、酒が止められない事、島へ来てお世話をしても将来が案ぜられる等々を話し、 その内に適当な庵が見つかったらお知らせするのでそれまで島へ来る事は見合す様返事をする事で別れ、一二は井泉水に「・・・適当な庵が無いので来るのを待て・・・」と電報を打ちました。
大正14年8月13日の午後、電報と入れ違いに放哉は井泉水の依頼文を持って一二宅を訪れました。 内容は「…しきりに海を恋しがっており、ご迷惑とは存じますがよろしくお願いしたい。酒はぜったいに 禁ずるように約束させ「翌からは禁酒の酒がこぼれる」をはなむけとしました。貴島において同君の身 を託する所がなくば台湾へ行こうというていました…」とあり、放哉を案ずる気持ちが随所に出ている 手紙でした。この禁酒の事について一二は層雲昭和35年10月号で 「先生の句に文句をつけるの は失禮千萬ではあるがこの一句には随分迷惑したのである。大體酒に目のない放哉に「翌からは禁酒」とは實(じつ)に困(こま)った宣言なので、放哉は故意か偶然か翌から禁酒でついに死ぬ日まで今日は今日はと呑みつくしたのであった。」
と記されています。・・・・・・続く。





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紫色字 記念館休館日
茶色字 資料館休館日
8、9月号で朝日新聞(6月13日付)に土庄町・丹生裕子さんの句が選ばれ、掲載されたことをご紹介し、その句の短冊展示についてご案内しました。しかし、香川県内緊急事態対策期のため、9月30日まで臨時休館を延長しましたので、展示期間を10月末までに変更させていただきます。
【藤の花今真っ盛り南郷庵
         放哉在りし日の偲ばるる】
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