相続税の申告期限(まだあるペナルティ編)

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<この記事の概要>相続税の申告期限までに申告ができなかった場合の、ペナルティとしての「有利規定の不適用」と次善の対策について。

まだある「申告期限に間に合わなかった時のペナルティ」

相続税の申告期限については、別の記事でご説明しているとおりです。
また、この申告期限までに申告ができなかった場合にうけるペナルティについても、別の記事でご説明しました。

※相続税の申告期限についてはこちらの記事で解説しています → 「相続税の申告期限(いつまでに?編)」

※相続税の申告が遅れてしまった時のことはこちらの記事で解説しています → 「相続税の申告期限(遅れたら?編)」

実は、申告が期限に間に合わなかった場合のペナルティはまだあります。
以下でそのペナルティについてご説明します。

相続税に関するペナルティ③
期限後申告の場合、各種有利規定が使えなくなる

配偶者の税額軽減や、小規模宅地の特例等、相続税には申告者に有利となる(税額が軽減できる)規定がいくつかあります。

※相続税の有利規定については別の記事で詳しく解説する予定です(準備中)

これら有利規定を使うためには、基本的に期限内申告かつ、申告期限までに遺産分割が終わっていることが必要となります。

遺産分割とは、相続人が複数いる場合に、誰にどの遺産をどれくらい相続させるかを決めることです。
具体例でいうと、「相続税の計算の仕方(後編)」の最後の部分で例示しています、
『例5)被相続人Aさんの実際に相続される財産の総額は8,000万円でした。(=課税価格)
 法定相続人である配偶者Bさんと子どもCさん、Dさんは以下のように財産を配分することにしました。
ここのところのことになります。

つまり、申告の期限までに、分割協議書を作成し、判を押し、コピーを申告書に添付して、期限内に申告すればよいのですが、
申告期限までに、分割協議が終わらなかった場合(分割協議書が作成できなかった場合)は、
せっかく使える有利規定が使えないこととなってしまうのです。

つい忙しさにかまけて、とか、なんだか家族の間柄が悪くなりそうだから、とか、そもそももめていて、とか、
遺産分割のための協議に着手しない・協議がまとまらないといったことは色々と考えられると思います。
そんな時に、なんとかする方法はないのでしょうか?

 

「申告期限後3年以内の分割見込書」とは

様々な事情で、申告の期限までに遺産分割が終わりそうにない場合、
作成をお勧めするのが「申告期限後3年以内の分割見込書」です。

これは、「今は分割協議がまとまっていないけど、3年以内にまとめる予定だから、
ちょっと待ってください」と、税務署に事情説明する書類のことです。

そして、この書類と一緒に、未分割の遺産は未分割のまま、期限までに一旦申告をしておきます。
未分割の財産については、法定相続分で分けたと仮定して、税額を計算しますが、
このとき、未分割財産に関しては、有利規定は使えません。

あれ、有利規定を使えるようにするための方法じゃなかったの? と思われた方、そのとおりです。

あくまでこの申告は分割が完全に決まっていない状態でのものなので、その後、分割が決まれば、改めて修正申告を行います。
再度計算し直して、財産が増えた人は、追加納税し、減った人は、還付を受けることになるのですが、
この時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を先に出しておけば、有利規定が使えるようになるのです。

また、そうしてもなお3年以内に分割協議が終わらなかった場合には、
やむを得ない事由があれば、承認申請書を提出して、延長をすることも可能です。
例えば、相続に関して提訴がある、和解・調停の申し立てがある場合や
遺言により遺産分割を一定期間禁止している場合等がありますが、
具体的な事案については、税理士等にご相談ください。

いずれにせよ、相続税の申告を放置し、何もしないまま期限を超えてしまうと、
せっかく手を打てていたかもしれないことも、何も出来なくなってしまいます。
どんな事情であれ、少なくとも申告期限までには、一度、専門家に相談されることをお勧めします。

 

 

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