科学の色>ベンガラ
ベンガラの謎(4)
隣に座っているO形氏は、花巻人形・伏見人形の蒐集家。デスクトップの壁紙にも怪しげな土人形が並んでいる。
氏とは、しばしば雑談するが、先日なぜかベンガラが話題に上った。
「ベンガラ赤は安定していて、いつまでも退色しませんよ。」
「伏見人形の赤は時間がたつと色あせる。古いのは唇が薄うなっている。」
「染料使っとんでは?」
「たしか蘇芳(スオウ)だ。蘇芳は知っとんか?」
その瞬間、ある閃きがTAKAの脳裏を走った。 それは、ベンガラ館で見た弁柄由来の看板(右写真)。「スホウ」の意味がわからなかった。
「ソホ」→「スホウ」→「スオウ」。赭(ソホ)は、赤者だ。赤いもの全体を指す言葉だったのではないだろうか。 辰砂は特に区別するため、最初に真赭(マソホ)と呼ばれた。江戸初期(もっと前かもしれない)、 ベンガラは中国を経由(もしくは直接ポルトガルが)して大量に日本に輸入された(と仮定しよう)。使用量が増えたので、赭(ソホ)と区別する言葉が必要になった。 ベンガラは、オランダ語でもbengalaである。その辺りの言葉が日本に定着したのではないか。
その結果、赭(ソホ)グループで残った(下図参照)のが、蘇芳(スオウ)。あまりにできすぎている気もするが、今後検証していきたい。 なお、「蘇」は蘇る。死者を蘇らせる儀式に赭(ソホ)・蘇芳(スオウ)は使われていたのではないだろうか。
(2006/10/22、TAKA)
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