第十三回放哉賞
第13回放哉賞の入選句が決定しました。すでに入選者には書面でもってお知らせしておりますが、改めて当ページでも発表します。  平成23年3月
東北・北海道 関東 北陸・中部 関西 中国 四国 九州 合 計
23名 65名 34名 37名 23名 17名 25名 224名
46句 145句 68句 71句 54句 28句 48句 460句
放哉大賞 熊本県 佐藤智栄様
風があるいて春を充電する
作品評  和久田登生(自由律俳誌「層雲」代表)
「風があるいて」は春風駘蕩といった日でも春先のまだ寒い日でもよい、「風とも言え
ない程の風」が吹いています。視点が新鮮です。「春を充電する」の「を」には、充電と
いう持続する時間までもが示されています。気の利いた二つのフレーズを提示し、あとに
加える半面を読者に任せています。趣が深い作品と思いました。
入賞作品
ずっとそばにいたいからとんぽになる 府中市 宇岐 知子
ついつい消せない落書きと暮らす 小平市 本山 麓草
わたしを呼んでいる雲に窓あける 山口県 久光 良一
こより経る指先戦争を知っている 北九州市 中村 重義
電車から無数の自分が降りてくる 福島県 田畑  剛
墓地を上れば海の明るさ 南国市 細川 光洋
憎が歩く夕日の遭を私も歩く 東京都 大久保さく子
満天の寒い星が一緒に歩く 三原市 亀井 朽箒
ネジ捲いた冬の日ほどいて眠りにつく 長野市 宮島 周水
こころ風に遊ばせている鰯雲 浜松市 宮本 卓郎
入選作品
嘘をつくとピアスが揺れる 前橋市 小林さわ子
からっぼの荷に月が光りを捨てている 東京都 荒木  勉
空の上に空があるような秋の空 丸亀市 寒川 靖子
影の位置朝が春になっている廊下 豊明市 中野 弘雄
止む雪の舞う影美しく月が出ている 鳥取県 岸本 寿山人
冬月の空まるくなる青い年輪 山口市 清水 八重子
やっと重荷が下りた新米を炊く 静岡市 斎藤 静江
そこだけが冬空へ抜けている街の廃校 浜松市 大軒 妙子
風のいびきを聞きながら眠る 瀬戸内市 小橋 辰矢
魚になってあなたの耳を咬む 東京都 湯田 一葉
過去十二回の放哉大賞
※第一回から十二回までの放哉賞も閲覧できます。回数欄をクリック。
 
第十二回 ボーっと言って船が空に向かう 東京都  遠藤多満氏
第十一回 一本の向日葵と海を見ている 岡山市 木下草風氏
第十回 闇へどうんと島が目の前 福岡市 伊藤夢山氏
第九回 語りはじめそうな石の横 防府市 富永鳩山氏
第八回 薄れ行く夕焼過去が立止まっている 浜松市 富田彌生氏
第七回 空いたままの指定席が春を乗せている 新潟市 黒崎渓水氏
第六回 無人駅の窓口は 風の音売ります 田川市 高木和子氏
第五回 波からころがる陽に足跡がはずむ  京都市 高田弄山氏
第四回 おのれ失うたものさらしている冬の残照 大分県 藤原よし久氏
第三回 人間を脱ぐと海がよく光る 岡山県 篠原和子氏
第二回 砂ばかりうねうねと海に落ちる空 鳥取県 坪倉優美子氏
第一回 鍵なくしている鍵の穴の冷たさ 神戸市 木村健治氏
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「放哉」南郷庵友の会
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