第十六回放哉賞
第1六回放哉賞の受賞作品が決定しました。すでに入選者には書面でもってお知らせしておりますが、改めて当ページでも発表します。  平成26年3月
東北・北海道 関東 北陸・中部 関西 中国 四国 九州 合 計
19名 55名 26名 22名 23名 25名 24名 194名
38句 120句 67句 51句 53句 41句 52句 422句
放哉大賞 秦野市  井上 敬雄(よしお)様
倒れたコスモス夕焼けをみている
短評  和久田登生(自由律俳誌「層雲」代表)
「倒れたコスモス」と読んで、決して痛々しくない。目のまえに余白ができたような・・・・。「俳句は深々と "間"をとり込む詩だ」
    「倒れたコスモス」そのあるがままの姿も目のまえ「夕焼け」を見ています。
「影」にリズムも伴います。
入賞作品
雑踏の駅から冬の海と話しにゆく 佐山市 海野 兼夫
何も彼も沈めて海は青くなる 福山市 藤井 茂基
水の流れる音を連れて歩く 町田市 野村 信廣
かみあわない言葉コスモス畑に置いてくる 北九州市 中村みや子
満天の冬の夜空を受け止める 札幌市 鎌田 誠
想い出を集めるように落葉をひろう 松山市 高橋 正治
恍惚の影おいてくる螺旋階段 山口市 清水八重子
汽笛つないで四月の島をぬりかえる 福岡県 重富 架光
雲に乗った私が雪になって降るつぶやき 鳥取県 岸本寿山人
花の香りの夕陽着ている 東京都 大久保さく子
入選作品
本当に泣きそうな海を見ている 大阪市 川口 和人
今夜も灯りつけた窓にある小さなくらし 山口県 久光 良一
消えてゆく音を消してゆく風の音 小平市 本山 麓草
指先の緑のにおい 風に返事してみる 千葉市 上中 直樹
秋のつぶやき舞う夜のくちびる 浜松市 周東 利信
そして枯野に影一枚とあそぶ 横浜市 坂部万千代
師走、長居の人も有り夕餉の支度 浜松市 飯田 邦弘
コスモスが打ち明け話をしてくる 福岡市 青木 草平
蝉時雨がボレロと化す旅立ち 浦安市 豊島 滝三
つまらない大人の顔を鏡に映す 仙台市 大平  敦

文学の森・月刊「俳句界」賞
文学の森「俳句界」では従来より放哉賞の大賞、入賞、入選句のうちより選考して文学の森・月刊「俳句界」賞を授与してきました。今回は次の句が授賞しました。
浦安市  豊島 滝三 様
蝉時雨がボレロと化す旅立ち
選評  
「蝉時雨」と「ボレロ」のむすびつけに一瞬虚を衝かれ、ついで納得させられた。「ボレロ」は最初から最後まで同じリズムが繰り返されるという一見単調と思われがちな曲だが、次々と異なった楽器で演奏されねメロディーもリズムも次第に勢いを増していきフィナーレを迎える。とても豊かで重厚な曲だ。作者は旅立ちの日に一匹の蝉の声を聞いた。その声はだんだんと他の蝉に拡がって勢いを増し、やがて大合奏となった。それはまるで旅立つ作者の背中を押してくれるかのような響だったのだろう。「蝉時雨」の残響が伝わって来る一句である。                                          (文学の森)
 
過去十五回の放哉大賞
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第十五回 昭和一桁の頑固さ いっきに師走 北九州市 中村みや子氏
第十四回 言葉の花束そろえる陽だまり 神奈川県 野谷真治氏
第十三回 風があるいて春を充電する 熊本県 佐藤智恵氏
第十二回 ボーっと言って船が空に向かう 東京都  遠藤多満氏
第十一回 一本の向日葵と海を見ている 岡山市 木下草風氏
第十回 闇へどうんと島が目の前 福岡市 伊藤夢山氏
第九回 語りはじめそうな石の横 防府市 富永鳩山氏
第八回 薄れ行く夕焼過去が立止まっている 浜松市 富田彌生氏
第七回 空いたままの指定席が春を乗せている 新潟市 黒崎渓水氏
第六回 無人駅の窓口は 風の音売ります 田川市 高木和子氏
第五回 波からころがる陽に足跡がはずむ  京都市 高田弄山氏
第四回 おのれ失うたものさらしている冬の残照 大分県 藤原よし久氏
第三回 人間を脱ぐと海がよく光る 岡山県 篠原和子氏
第二回 砂ばかりうねうねと海に落ちる空 鳥取県 坪倉優美子氏
第一回 鍵なくしている鍵の穴の冷たさ 神戸市 木村健治氏
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「放哉」南郷庵友の会
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